e企業の設備投資 規制緩和などで意欲引き出せ

  • 2015.10.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年10月24日(土)付



企業の設備投資を促すため、政府と経済界で協議する「官民対話」の初会合が開かれた。首相や経済閣僚、経済界の代表が出席し、月に1回程度のペースで議論していく予定だ。


過去最高の企業収益で、企業の2014年度の内部留保は2年前より50兆円近く増え、総額354兆円となった。このうち、比較的すぐに使える現預金は210兆円に上るが、企業の成長・発展のカギを握る設備投資は、2年前より5兆円増の計40兆円にとどまっている。


設備投資の伸びが鈍い理由は、為替水準の変化や中国経済の減速感、消費税率の引き上げなどに企業が備えているからだろう。そうした経営判断は、企業としては当然かもしれない。


ただ、必要以上に設備投資を控えていないだろうか。製造業の設備年齢(機械などを新設してからの年数)は13年時点で16.3年と、過去20年間で5年も老朽化した。古い設備は最新設備に比べて生産の能率が落ち、故障もしやすい。


ただでさえ、人工知能(AI)やビッグデータ(インターネット上などの膨大な電子情報)を使い、製造業の生産性や柔軟性を飛躍的に高めようとする「第4次産業革命」への対応を巡って、世界のトップ企業は、しのぎを削っている。加えて環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意し、今後の経営戦略が描きやすくなった今こそ、積極投資する好機ではないか。


一方で、政府が企業に設備投資の拡大を要請するだけでは物足りない。医療、環境、エネルギーなど成長分野の規制を緩和し、投資しやすい環境を作るべきだ。日本企業の設備投資が海外に向かっている点を考えれば、人口の減少や高齢化で縮小する国内市場を活性化させ、魅力ある投資先を作るため「官民対話」の場で企業側の要望をしっかり受け止める必要がある。


法人税の実効税率を引き下げ、海外資本を誘致することも重要になる。経済界は、現在32.11%の税率をアジア近隣諸国並みの20%台に引き下げるよう求めている。政府は、こうした意見にも耳を傾けてもらいたい。

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