e国際標準の獲得 政府、中小企業の支援を本格化

  • 2015.11.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年11月2日(月)付



日本の「ものづくり」を支えている中小企業は、世界最高水準の技術力を持つ。しかし、優れた技術を用いてつくられた高品質の製品であっても、海外の市場で売れず、品質では劣る他国の企業の製品に市場の獲得競争で敗れてしまうことも多い。


品質が良くても「国際標準化」されていない製品は、世界市場で通用しない。政府は、中小企業の製品の国際標準化を支援する新制度を、4日からスタートさせる。


国際標準化とは、各国の企業がつくるさまざまな製品の寸法や形、性能などを統一し、人々の生活の利便性を高めることである。例えば乾電池は国際的な規格が決まっており、どこの国のメーカーのものを買っても、世界中のどこでも使える。


国際標準となる製品の規格は、電気機械などの製品であれば国際電気標準化会議(IEC)が、それ以外の工業製品であれば国際標準化機構(ISO)が承認する。


かつて、スイッチなどの製品づくりを手掛ける日本企業が、国際標準の創設に参加できることを知らずに、痛い目に遭ったことがある。


産業機械用スイッチの制御パネルの取り付け穴について、日本は直径25ミリの穴を使っていたが、米国は30ミリ、欧州諸国は22ミリを採用していた。この取り付け穴の国際規格を決める際、日本企業だけがIECに規格を提案しなかったため、30ミリと22ミリが国際標準となり、日本企業は市場を失ってしまった。


製品を世界に広く流通させるには、その製品の規格が国際標準となるよう、さまざまな取り組みが必要になってくる。しかし、ただでさえ、人手不足の中小企業では、自社製品の国際標準化を推進できる人材がいない場合が多い。


政府は、中小企業が大学をはじめとする公的研究機関や、一般財団法人日本規格協会(JSA)などと連携する体制を構築し、中小企業に国際標準化についての専門的な助言を行えるようにするとしている。


これにより、中小企業が世界市場の獲得競争を優位に進められるようになれば、日本全体の産業競争力の強化につながる。しっかり支援してもらいたい。

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