eコラム「北斗七星」

  • 2015.11.09
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年11月7日(土)付



同居している90歳の義母は週2回、デイサービスに通っている。迎えのバスに乗る時は、まるで遠足に行くようで楽しそうだ◆施設は小学校の敷地内にある。先日、施設に通う人たちと小学6年生たちとの交流会が開かれ、そこで義母が作文を読むことになった。テーマは今年が戦後70年ということで「東京大空襲体験記」だった◆書き慣れない手で義母は1945年(昭和20)3月10日、現在の東京・江東区亀戸で焼け出された時の恐怖と、助かった喜びをまとめ、子どもたちに話した。すると後日、義母の元に12通の感想文が寄せられた◆「東京大空襲を実際に体験した人から聞くのは初めてだったので貴重な経験になりました」「家族で手を組んで逃げ、戻ってきた時はもう家の周りは焼け野原だったと聞いてすごくビックリしました」「きょう聞いたことを後世に伝えていかなければならないと思いました。そのためにはどうすればいいかいろんなことを学んでいきたいと思います」◆名も無き一老人の訴えた戦争体験は、親はもちろん祖父母も戦争を知らなくなった世代の小学6年生にとって、ショッキングな話だったことだろう。そう考えると戦争を体験した90歳以上の皆さんは、戦争の悲惨さと平和の尊さを若い人たちのために、ぜひ語り継いでいただきたい。(流)

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