e介護休業制度 分割取得認め、使い勝手改善を
- 2015.11.09
- 情勢/解説
公明新聞:2015年11月7日(土)付
働く人が家族の介護のために取得する介護休業。厚生労働省の審議会で、介護休業制度について定めた育児・介護休業法の見直し論議が進んでいる。
主なテーマは、介護休業の取得方法や、休業中に支給される休業給付金(賃金の4割)の引き上げなどである。企業側の理解を得ながら、ぜひ休業制度を改善させたい。
育児・介護休業法は、要介護状態の家族1人につき、原則1回限りで最長93日の介護休業を認めているが、取得率は1割にも満たない。
制度が十分に認知されていないことに加え、事前に申請した日数しか取れないことも要因とみられる。一度取得してしまうと、要介護者の状態が悪化しても再取得できないからだ。最も大変な時期に備えて、介護休業を温存する人もいる。
そこで、公明党は複数回に分けて休みを取得できるよう柔軟な運用を求めている。実際、独自に分割取得を認めている企業は、認めていない企業より離職者の割合が少ないという調査もある。せっかくの制度を使い勝手の良いものに改めるべきは当然だ。
企業側の取り組みも欠かせない。介護休業期間を1年近く延長できる仕組みを独自に設けたり、休業中の本人負担分の社会保険料を会社が負担する企業も現れている。こうした企業の工夫を後押ししていく必要があろう。
広島県では今年度から、仕事と介護の両立支援に取り組む企業を登録する制度を開始した。登録されれば、県の定めた登録マークが使用できるため、優秀な人材の確保や企業イメージの向上が期待できる。また、登録企業は、介護休業した従業員の代替要員に充てる費用などを低利で融資(1回のみで上限7000万円)を受けられる。この登録制度は県議会公明党が実現を推進したもので、他の自治体も参考になるに違いない。
総務省の調査によると、介護離職者は年間約10万人に上り、40~50歳代の働き盛りが多い。企業の中核を担う世代が辞めざるを得ない事態は、企業をはじめ社会にとっても損失が大きい。政府が掲げる「介護離職ゼロ」への有効策の一つとして、官民で連携して実現させていきたい。