eマンホールトイレ普及へ
- 2015.11.20
- 生活/生活情報
公明新聞:2015年11月20日(金)付
災害時の環境改善めざす
国交省が運用指針案
国連が定める「世界トイレの日」の19日、国土交通省は都内で、災害時にマンホールの上に設置する「マンホールトイレ」の普及に向けたシンポジウムを開き、マンホールトイレの運用指針案を発表した。過去の災害を基に、避難所などへの設置数の目安を示したほか、快適なトイレ環境を確保するための配慮事項などを明記。年度内に指針を決定し、各自治体に整備を促したい考えだ。
マンホールトイレに関する指針策定は、過去の災害時に避難所のトイレ環境が劣悪になり、避難者らの健康に悪影響を及ぼしていた実態が背景にある。災害用トイレとしては仮設トイレの普及が進んでいるが、東日本大震災では仮設トイレが避難所に行き渡るまでに4日以上を要した被災自治体が全体の約66%を占めていた。
一方、マンホールトイレは仮設トイレに比べて迅速な組み立てが可能で、下水道管につながっていることから、くみ取りの必要がなく、日常生活に近いトイレ環境を確保できる点が特徴だ。また、段差がないため高齢者や障がいのある人でも利用しやすい。現在、マンホールトイレは全国で約2万基整備されているが、国交省では同トイレの有効性を踏まえ、一層の普及に向けて新たな指針策定が必要と判断した。
指針案によれば、マンホールトイレの設置場所は、災害対策基本法に基づいて市区町村が指定する避難所など。設置数の目安は100人当たり1~2基とした。
また、配慮事項として、男女別を基本として男女の出入り口の向きを変えることや、トイレの中と外への照明の設置、地震や強風による転倒対策の徹底のほか、高齢者向けの待合スペースの配置や、車いす用トイレを最低一つは設けるといった事項を提示。災害時に住民らがスムーズに組み立て・管理できるように、防災訓練で運用方法を確認することも推奨している。
公明党は、これまで各地の地方議員がマンホールトイレの整備を提案し、すでに導入が進んでいる自治体もある。党国交部会の樋口尚也部会長(衆院議員)は、災害時にトイレ環境を切れ目なく確保することが「避難者の安心感につながる」として、「党のネットワークを生かし、全国への普及に努めていきたい」と話している。