e実用化進む 介護ロボット
- 2015.11.24
- 情勢/テクノロジー
公明新聞:2015年11月24日(火)付
地域ニーズを基に開発支援
来年度 仲介拠点を最大10カ所
少子化で介護の担い手が減少している現状を補う観点から、介護や福祉の分野におけるロボット技術の活用に関心が高まっている。こうした中、厚生労働省の2016年度概算要求には「介護ロボット」の開発を支援する仲介拠点設置が盛り込まれ、実用化に向けた流れが加速している。
介護ロボットは、介護の必要な人の自立を支える一方、介護職員の身体的な負担を減らす点で威力を発揮する。介護職は重労働を伴うため、ロボットの需要は高い。その半面、使い勝手など介護現場のニーズと企業の開発技術の連携も課題となっている。
このため、仲介拠点には、介護とロボット技術の両方に詳しい「開発支援コーディネーター」を配置。コーディネーターは企業への助言や、企業に介護施設などの"現場の声"を届ける橋渡し役を担う。リハビリテーションセンターや商工会議所などに置くことを想定し、来年度には全国で数カ所~10カ所程度に設ける方針だ。
厚労省によると、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる25年には介護職員が約38万人不足する。ロボットが普及すれば、腰痛などを抱えやすい介護職員の負担を減らし、離職率減少につながることも期待されている。
政府は今年1月、ロボット新戦略を発表し、介護・医療分野を重要分野の一つとして掲げた。中でもベッドからの移し替え支援や歩行支援などの重要5分野については、20年までに介護ロボット市場を500億円に拡大することをめざす。また、ロボット技術を活用した医療関連機器の実用化については、5年間で100件実施する目標を掲げ、技術開発や現場への導入、普及を集中的に進める。
公明党はこれまで、介護ロボットの普及を推進。党厚労部会(部会長=古屋範子副代表)は昨年8月、神奈川県藤沢市の湘南ロボケアセンター株式会社を視察し、医療・介護などでのロボット活用の可能性を調査するなど普及に向け、取り組んできた。今年3月の参院経済産業委員会で公明党の佐々木さやかさんは、「(ロボットの活用を)介護、医療、リハビリ分野で国も積極的に取り組むべきだ」と訴えていた。