e就活日程の再変更 学生への影響を最小限にせよ
- 2015.11.24
- 情勢/解説
公明新聞:2015年11月24日(火)付
2年連続となる就職活動(就活)日程の変更が学生に混乱を与えてはいけない。
2017年春に卒業予定の大学生の就活日程に関して、企業による面接などの採用選考活動を2カ月前倒しして、大学3年の6月に解禁することが決まった。経団連に加盟する大手企業が対象となる。関係者は、大学生に動揺や混乱が生じないよう、影響を最小限にとどめる対策を進めてもらいたい。
就活日程は、学業の時間確保や留学から帰国した学生が不利にならないように配慮する狙いで、今年から開始時期を遅らせた。ところが、学生の準備期間が例年と変わらず選考活動が遅くなったため、結果的に就活期間が長期化したり、大手企業よりも先に採用活動が始まった中小企業での内定辞退が起きた。
内閣府が今年10~11月に行った調査では、大学4年生の57%が「負担が大きくなった」と回答している。
できる限り学業に専念してもらうため、就活期間を短縮するという当初の目的や方向性は間違っていないだろうが、現実に多くの学生が不利益を感じたのであれば、変更はやむを得ないだろう。ただ、18年春に卒業予定の大学生に関しては、また就活の日程が変わるかもしれないという。猫の目のようにルールが変わると、学生は戸惑うばかりだ。経団連は大学や政府などと速やかに議論して、早急に結論を出してほしい。
企業による就活日程ルールの順守も重要だ。優秀な人材を確保するため、他社に抜け駆けをして学生と接触する企業もあると聞くが、それでは「正直者がばかを見る」ことになる。一方で、6月は多くの企業が四半期決算や株主総会などを行う繁忙期でもある。採用活動と重なって、学生への対応がおろそかになるようでは困る。
大学には、日程変更で学生が振り回されないように的確なサポートをお願いしたい。そして政府は、企業にルール違反が無いか、学生の就活の実態などを調査し、支援策を講じてほしい。採用活動がいつ解禁されても似たような問題が起きるのであれば、この機会に新卒一括採用から通年採用へと比重を移すのも一つの手だ。