eグループ補助金 被災企業の本格回復へメスを

  • 2015.11.27
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年11月27日(金)付



東日本大震災から4年8カ月余り、被災した中小企業の再建を支援するグループ補助金制度にメスを入れる時が来ているようだ。より時宜に適った制度へ、国は改善・改革の努力を怠ってはならない。


経済産業省東北経済産業局が東北の被災企業8569社を対象に行った「グループ補助金交付先調査」で、「売り上げが震災前の半分以下になった」企業が前年比7ポイント増の31%に上ることが分かった。悪化に転じたのは、過去5回の調査で初めてのことだ。


雇用面でも悪化傾向が見られ、「震災前の水準まで回復した」企業は前年比6ポイント減の55%と、こちらも逆戻りした。建設業を中心に復旧期にはあった雇用回復の流れにブレーキがかかり、人手不足が一層深刻な状況に陥っていることを裏付けた格好だ。


ただし一方で、「売り上げが震災前水準まで回復した」企業も45%あり、前年より5ポイント改善している。東北経産局の担当者は「全体としてグループ補助金の有効性は不変だが、復興特需が一段落する中、企業業績の二極化が進んでいる」と分析する。


実際、業種別にみると、復興関連の工事で恩恵を受ける「建設業」の業績回復率は76%に上るのに対して、「旅館・ホテル業」や「卸小売・サービス業」の回復率は30%台後半に後退。「水産・食品加工業」に至ってはいまだ26%にとどまっている。


国はこうした事態に対応し、制度の運用から補助額の規模、支援内容に至るまで、点検と見直しを急ぐべきだ。倒産防止や工場復旧などに果たした同補助金の成果を踏まえつつ、被災地の現状に適した、より実効性ある制度への改善が欠かせない。


その際、重要なのは、来年度から始まる「復興・創生期間」(~20年度)を見据え、同補助金の色合いを「事業再開までの後押し」から「本格的な事業継続への支援」へと転換することだろう。いわば、「被災地が創造的復興という次のステップへ進むための衣替え」である。


官需による復興需要が落ち着く中、民需による新規需要の開拓をどう進めるか。そのカギが現地企業の本格回復にあることを重ねて強調しておきたい。

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