e障がい者差別の解消 自治体は対応要領づくり急げ

  • 2015.12.03
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年12月3日(木)付



きょう3日から9日までは「障害者週間」。各地で障がいのある人の社会参画を促すための啓発活動が行われる。障がいがあっても自立し、共生できる社会づくりを進めなければならない。


折しも今、障がいを理由とした差別を禁止する「障害者差別解消法」が来年4月から施行されるため、施行に向けた準備が進められている。


差別解消法は、国や自治体、民間事業者に、「障がいのため、窓口対応の順番を後回しされた」などの差別的な取り扱いを禁止する。併せて、「目や手が不自由な人のために代読や代筆をする」「意思疎通が苦手な人に絵カードを活用する」といった個別の状況に応じた配慮を可能な範囲で行うことも求めている。こうしたことは、障がい者の活躍の場を広げる上で欠かせない配慮だろう。


そのため、差別解消法は、どのような場合に、どんな手助けが必要なのか、行政機関に差別の考え方や具体的な事例を明示する対応要領を策定するよう定めている。


法律上、国は必ず要領の策定を行わなければならないことから、政府レベルでは策定作業が進んでおり、全省庁の対応要領が近く出そろう見通しである。しかし、自治体は努力義務にとどまるため、策定できるのか、法施行に間に合うのかと懸念されている。


自治体は、策定作業を急ぐ必要がある。未策定の自治体があれば、公明党の地方議員も応援して、進めてもらいたい。国も、自治体にノウハウの助言や担当職員向けの研修会の開催などを後押ししていくべきだ。


ちなみに愛知県は、県職員の対応要領の策定を義務化する内容を盛り込んだ条例案を12月定例議会に提出している。策定を条例で義務化する措置は、全国の都道府県で初めてだが、差別解消に意欲的に取り組む姿勢が伝わってくる。


一方、各省庁では、主な事業分野別に民間事業者向けのガイドライン(指針)の策定を進めている。業界団体などとの連携を強化し、少しでも多くの事業者が指針に沿った取り組みができるようにすることも必要だ。官民を挙げて、差別解消に向けた対応に万全を期したい。

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