eコラム「北斗七星」
- 2015.12.04
- 情勢/社会
公明新聞:2015年12月4日(金)付
この時期、税制改正の取りまとめに向けた論議が日々白熱していく。とりわけ今年は、注目度が高い。2017年4月の消費税率引き上げ時に導入する軽減税率の適用範囲をめぐり、与党間で詰めの協議が行われているためだ◆先月末、共同通信が伝えた世論調査結果が興味深い。自民党支持層に望ましい適用範囲を尋ねた内容である。「酒類を除き、外食を含む全ての飲食料品」との回答が33.1%で最も多く、女性では36.5%。逆に「生鮮食品のみに限定」は20.3%にとどまった◆先行きに明るい展望を描けないと思えば、仮に多少の蓄えがあっても財布のひもはキュッと締められる。一方で、将来の見通しが立つならばその逆となる。生活満足度や楽観度が高いほど消費意欲につながる。感情と消費行動には関連があるとの分析結果も。「景気は気から」は本質を突いている◆世界一の少子高齢社会を幅広く国民が支える意味から、消費税を手厚くすることには理解を得られるはず。その上で、日常生活に欠かせない食料品購入における負担軽減効果は、諸外国の導入実績をあらためて確認したい◆それぞれの立場がある。ぶつかり合うのは議論が健全な証拠。その一部始終は弊紙でも報道している。庶民の暮らしに安心をもたらす決断を、固唾をのんで見守りたい。(広)