eコラム「北斗七星」
- 2015.12.07
- 情勢/社会
公明新聞:2015年12月5日(土)付
残し柿という風習がある。収穫を終えた柿の木に一つか数個だけ実を残しておく。恵みを与えてくれた木へのいたわりとともに、来年もよく実るようにとの願いを込めたもので、「木守柿」と呼ばれ、晩秋から冬の風景に◆地方によっては、冬場に餌が少なくなる野鳥へのおすそ分けにするという。分かち合う心遣いに温もりを感じる◆きょうは、国連によって定められた「国際ボランティア・デー」。多くの人々が国内外においてボランティア活動に参加できる機運を高める日とされ、制定から30年になる。日本では東日本大震災を機に、希薄化していた地域の結び付きが見直され、市民の間でもボランティアやNPOの活動に対する意欲は高まりつつある◆ただ、活動に費やす時間は主要国と比べてまだ低い。ボランティア休暇を導入する企業も増えているが、社会全体の後押しが必要だ◆何より、思いやりの心を養う教育面での取り組みが欠かせない。最近では、子どもたちが高齢者宅を訪問して肩たたきや掃除などのボランティアを行う事業を展開した自治体もあり、注目された。触れ合いを通し双方の絆が深まったという◆「近隣のために尽くす人は、同時に人類のために尽くしている」とは、ガンジーの言葉だ。誰もが互いに尊重し支え合う共生社会を築いていきたい。(紀)