e介護と仕事の両立支援
- 2015.12.07
- 情勢/社会
公明新聞:2015年12月7日(月)付
休業制度 見直しへ
政府の「総活躍」対策に反映
給付金 賃金の40%から67%
取得 「93日」の3分割可能に
11月26日に政府が決定した「1億総活躍社会実現への緊急対策」には、公明党が長年、主張し続けてきた仕事と介護の両立を実現するための介護休業制度の見直しが盛り込まれた。
内容は、介護休業を取得した際に雇用保険から受け取れる給付金を賃金の40%から67%に引き上げ、分割取得を可能とするもの。分割取得については、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会が3回程度まで分割できる案を示している。
現在の制度では、働く人が介護を行うことになった場合、家族が要介護状態になるごとに1回、最大93日まで休業可能だが、途中で仕事に復帰すると残日数があっても取得できない。別に介護休暇もあるが年5日までで、まとめた休みは取れない仕組みになっている。
取得率は3.2%
総務省の調査(2012年)によると、仕事を続けながら家族などの介護を行っている人は291万人で、働いている人(6442万700人)の約4.5%に当たる。一方、家族の介護を理由に仕事を辞める「介護離職」は、1年間で10万1000人(11年10月~12年9月)。このうち約6割はやむを得ず離職している。
半面、実際に介護休業を取得した人は3.2%(正規雇用者3.9%、非正規雇用者2.2%)にとどまる。
厚労省の「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(12年)によると、介護休業など両立支援制度を利用しない理由で最も多かったのは「(職場に)両立支援制度がない」で、就業者の27.3%、離職者の45.3%に上った。また「自分の仕事を代わってくれる人がいない」と答えたのは就業者の21.9%、離職者の20.5%だった。調査結果からは、働く側も事業主側も介護休業制度について認知不足で、職場の理解が不足していることが読み取れる。
公明の主張で国が対策
公明党は要介護者が増え続ける社会状況を踏まえ、いち早く介護離職対策を国会質問などで訴えてきた。
政府の緊急対策に向けて行った党の提言では、介護休業給付率の引き上げ、分割取得などの見直し、さらに育児と介護とのダブルケアと仕事の両立支援について抜本的見直しを迫っていた。