eコラム「北斗七星」

  • 2015.12.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年12月8日(火)付



公明党北海道本部が開いた政策懇談会の席上、地元経済団体から「ロケット打ち上げ場の道内誘致を」との要望が寄せられた。興味深く耳を傾けたものの、先ごろ国産機として初の民間商業衛星打ち上げに成功したH2Aロケットを取り巻く状況が頭をよぎった◆赤道上空の静止軌道に衛星を投入するには、鹿児島県の種子島宇宙センターからでも距離があり、欧米諸国との受注競争では不利といわれてきた。今回は、日本の優れた技術力でエンジン性能を高め、悪条件を振り払った格好。まして北海道では?◆もとより要らぬ心配で、北極と南極の上空を通る「極軌道衛星」に的を絞っている。これなら打ち上げ地点の緯度に左右されることはない◆このタイプは、周回中に地球が自転するため全表面をくまなく観測できる。高度1000キロほどの低空軌道が適しており、小型ロケットで打ち上げられる。近距離で高解像度の撮影が可能なことから、気象のほか火山活動や植生分布の観測など活用分野も幅広い◆誘致先に名乗りを上げる十勝地方の大樹町は、大規模実験場で民間企業や学術機関の宇宙開発事業を長年支えてきた。昨年、「北海道スペースポート研究会」が発足、道内の産学官約60団体による支援体制も整った。地方が抱く大きな夢。その実現を応援したい。(武)

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