e来年度予算の焦点 部会長に聞く(5)
- 2015.12.08
- 情勢/経済
公明新聞:2015年12月8日(火)付
農林水産部会、財政・金融部会
上田 勇衆院議員 農水部会長
収益力ある成長産業に育成
現在、農林水産業が直面する最大の課題は、10月に大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)の発効を念頭に置いた対応だ。
政府の「総合的なTPP関連政策大綱」には、公明党の提言を受け、影響を最小化する「守り」の対策とともに、酪農家や畜産農家、JAなどが地域ぐるみで収益の向上をめざす「畜産クラスター」の関連事業の拡充など、TPPのメリット(利点)を最大限に生かす「攻め」の対策が盛り込まれている。2015年度補正予算や16年度当初予算で着実に具体化していく。
これにより、安価な外国産農産物との価格競争にさらされるという生産者の不安を解消しながら、TPPを契機に、農林水産業を収益力の高い成長産業へと育てていく決意だ。
さらに、都市農業の機能強化策のほか、農家の経営安定を図る「収入保険」制度の創設に向けた調査、林業の成長産業化へCLT(直交集成板)の普及などを推進していく。
伊藤 渉衆院議員 財金部会長
財政健全化を着実に前進
財政・金融分野で、2016年度予算の編成に当たっての最重要課題となるのは、財政健全化だ。
政府・与党は財政健全化計画で、政策経費を借金に頼らずに賄えるかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を20年までに黒字化することなどを目標に掲げた。国と地方の長期債務残高が1000兆円を超え、最悪の水準となる中、そうした目標の達成に向け、着実な前進を図りたい。
ただ、やみくもな緊縮財政で経済や国民生活に打撃を与えては本末転倒だ。やはり「経済再生なくして財政健全化なし」。経済成長によって税収を増やすことが、財政健全化への近道となる。経済再生に向けて他の部会とも連携し、中小企業の収益力強化、特にサービス業の生産性向上などへの支援策拡充をめざす。
金融面では中長期的な課題として中小企業の資金繰りを守るとともに、新規事業への挑戦や起業を促す観点から、過度に担保を求めず融資できるよう信用保証などの制度充実に取り組む決意だ。