eコラム「北斗七星」
- 2015.12.10
- 情勢/社会
公明新聞:2015年12月10日(木)付
警察庁発表によれば、信号機がないドーナツ型の「環状交差点」で、以前より人身事故が減少、特に死亡事故は1件も起きていないことなどが明らかになった。昨年9月に全国15カ所でスタートしたものが今年11月末には15都府県49カ所に増えた◆交差点の信号機をなくす。すべての自動車が一度、円形の道に入り時計回りに動く。進入も行きたい道に出るときも左折。重大事故につながることが多い正面や右折時の衝突が構造的にあり得ないことが、約1年間の好結果につながっていると思われる◆ところで、この交差点の大きな特徴は、交差点に進入してくる自動車がすべて減速することにある。交差点の中を回っている車を目にすれば、自然に減速せざるを得ない◆つまりは、この交差点を安全に保っているのは、お互いの「譲り合い」の精神だとも言えよう。交差点で一番、緊張するのはやはり右折時。そのストレスがない。その分、他の車へ配慮する精神的余裕も生まれようというものだ◆この交差点、交通量が多い所や、交わる一方の道路が圧倒的に多い場合にはかえって混乱しかねないが、専門家によれば郊外の道路のほとんどが適用可能だという。言い古されたような表現だが、やはり交通安全は「譲り合い」からしか生まれない、と改めて感じさせる。(繁)