e食品全般に軽減税率 逆進性を和らげ、経済を下支え
- 2015.12.15
- 情勢/社会
公明新聞:2015年12月15日(火)付
自民、公明両党は12日、消費税率の10%への引き上げ(2017年4月)と同時に導入される軽減税率(税率8%)の対象品目について、生鮮食品および加工食品(酒類・外食を除く)を対象とすることで合意した。
消費税は、景気の影響が少なく安定的な税収が見込めるものの、所得の大小に関係なく同じ税率が適用されるため、低所得者の負担が重くなる逆進性が指摘されている。これを緩和し、消費意欲を冷やさないためにも、食品など生活必需品の消費税率を標準税率よりも低く抑える軽減税率が、諸外国で定着しており、公明党は導入を訴えてきた。
今回の軽減税率をめぐる自民党との議論では当初、コメを含む生鮮食品に限るという案が有力だったが、公明党は「生鮮食品に限るというのでは国民の理解が得られない」(山口代表)と主張。高齢者や低所得者は、冷凍食品や総菜など加工食品に頼る割合が高く、それが対象からはずれると、所得が低い人への対策という軽減税率の本来の趣旨に沿わないことから、加工食品まで対象を広げるよう求めてきた。
軽減税率の対象が加工食品まで広がったことで、世帯主の年収が200万~250万円の低所得世帯で、税負担は年1万1千円軽減されるとの試算もある。年収に対する消費税負担額の割合で見ると、年収の低い世帯ほど軽減効果が大きいことは明確だ。
また、生鮮食品と加工食品の税率が同じになることで、売り場の大きな混乱は避けられることになった。
12年の民主、自民、公明による「社会保障と税の一体改革に関する3党合意」では、消費税10%段階で、軽減税率とともに、恒久的な措置として「給付つき税額控除」も選択肢として盛り込まれたが、世帯の正確な所得の把握が困難な現状では、再来年4月の税率アップと同時に実施することは難しい。
軽減税率の導入では、財源確保とともに課題もある。軽減税率をめぐる納税事務や商品管理について、税率が複数になることから、事務負担が増えることになる。相談体制の充実など、政府・与党挙げて事業者をバックアップしていかなければならない。