e温暖化対策「パリ協定」 目標達成へ日本が技術貢献を
- 2015.12.16
- 情勢/解説
公明新聞:2015年12月16日(水)付
歴史的な合意を契機に地球温暖化を食い止め、人類の未来を守る第一歩にしなければならない。
パリで開かれていた国連の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が2020年以降の温暖化対策の新たな枠組みとなる「パリ協定」を採択し、閉幕した。
先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務付けた京都議定書(1997年)に代わる、18年ぶりの新しい枠組みで、途上国や新興国を含む世界196カ国・地域全ての参加は初めてだ。国際社会が地球の危機回避に向けて協調した点を高く評価したい。
協定は、産業革命前からの気温上昇を2度未満にすることを目的としつつ、1.5度に抑えるよう努力する方針も示した。その上で、温室効果ガスの排出量を今世紀後半には実質ゼロにすることを掲げた。
削減目標を5年ごとに見直し、新しい目標はそれまでの目標を上回ることも義務付けられた。ただ、目標は自主目標となるため、掛け声だけに終わりかねないとの懸念もある。国際機関の分析によると、各国が約束を守っても「2度」目標は達成できない。
温暖化対策を具体化するには、何よりも協定の実効性を高めていく各国の行動と実践が肝心だが、特に排出量の多い米中両国の責任は重い。
先進国から途上国への資金支援も義務化されたが、着実に温暖化対策につなげることが重要だ。資金の使途や効果について情報を共有し、検証する取り組みが必要だろう。
新たな枠組みの誕生によって、日本でも対策の加速化が求められる。日本は、温室効果ガスの排出量を30年までに13年比で26%削減する目標を国連に提出したが、着実に達成するには省エネや再生エネの促進、火力発電の高効率化などが不可欠だ。技術開発のチャンスであり、国際的評価の高い日本の環境技術で世界に貢献もできる。政府は強力に推進すべきである。
今回の協定を機に、世界は化石燃料に大きく依存するこれまでの経済成長と決別し、二酸化炭素(CO2)の排出を減らす低炭素社会への転換を決断した。もともと、化石燃料の資源が乏しい日本にとっては好機でもあり、率先して取り組んでいきたい。