eコラム「北斗七星」
- 2015.12.18
- 情勢/社会
公明新聞:2015年12月18日(金)付
お酒や外食を除き、広く食料品全般を対象に軽減税率を導入することが決まった。2017年4月に消費税率は10%へと引き上げられる。日々の生活に必要な生鮮食品や加工食品の税率が8%に据え置かれた意義は大きい◆専門家からも「加工食品はいまや生活に欠かせないものになっており、対象品目を幅広くすることは、『低所得者対策』という本来の目的にもかなっている」(信州大学経済学部の真壁昭夫教授・13日付「読売」)と評価されている◆では、わが家にはどのくらい恩恵があるのか。民間シンクタンクの試算によると、年収300万円の世帯で年間1万円超の負担減。年金暮らしの高齢者世帯などから「家計のやりくりが大変な中で少しでも負担が減れば助かる」と歓迎の声が聞かれる◆一方で、「軽減税率の財源に充てるために社会保障が削られるのでは」との不安を口にする人も少なくない。医療や介護などの自己負担額の合計に上限を設ける「総合合算制度」を取りやめ、その財源を回すかのような報道があるせいだが、全くの誤解だ。与党としてそんな決定をしたことはない◆欧州では多くの国が取り入れ定着している軽減税率。17年4月導入に向けて、国民の声に耳を傾けながら、政府・与党が一体となって一つ一つ課題を乗り越えなければならない。(辰)