eドローンの宅配実験 安全性を確保し実用化急げ

  • 2015.12.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年12月22日(火)付



人手が必要ない宅配サービスを受ける日は近いようだ。


政府は、地域限定で規制緩和を行う国家戦略特区として広島県、千葉市、愛媛県今治市、北九州市の4自治体を指定した。このうち千葉市では、幕張新都心で小型無人飛行機「ドローン」を使った宅配サービスの実証実験に着手する計画で、実証のめどが立てば、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年の本格始動をめざす。政府は実現化を後押ししてもらいたい。


ドローンを使った宅配サービスとして、千葉市は、近隣の物流拠点から幕張新都心まで荷物を運んだり、地上から高層マンションの上階に医療品や生活必需品を運ぶことを想定している。これが順調に進めば、生活の利便性は一層高まっていく。


ドローンによる宅配は海外でも試みられている。山岳地帯に囲まれたスイスの国営郵便事業会社は、小さな集落に医療品など緊急時に必要な小荷物を届けるため、ドローンを用いた配達の試行をすでに開始し、5年以内の正式導入をめざす。米国の大手ネット販売業者やドイツの運送業者も本格配達に前向きだ。


ドローンは、災害や農林水産業、インフラ分野など幅広い利活用が期待されている。大手警備会社では今月から、監視カメラや発光ダイオード(LED)ライトを搭載したドローンを使って防犯サービスを始め、不審人物や車の追跡に利用するという。世界初の取り組みである。


ただ、相次ぐドローンの落下事件を踏まえ、安全の確保も重要だ。今月10日、改正航空法が施行され、国土交通相の許可がない限り、人口密集地や夜間などの飛行は原則禁止である。違反した場合は罰金が科される。政府はルールを知らない人への周知を徹底すべきだろう。


治安対策として、先の通常国会で、国の重要施設などの上空飛行を禁止する法案が衆院で可決したが、参院で継続審議となった。首相官邸への落下事件を教訓に、重要施設への侵入を防ぐようにしなければならない。来月4日から始まる通常国会で速やかな成立を図るべきだ。


ドローンの使い方は多岐にわたる。悪用を防ぎ、安全で役に立つ機器にしていきたい。

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