e障害者総合支援法 高齢化に対応した見直し必要

  • 2015.12.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年12月23日(水)付



障がい者の日常生活や社会生活を総合的に支援する「障害者総合支援法」の見直し論議が活発化している。


2013年4月に施行された総合支援法は、施行後3年をめどに見直す規定がある。公明党の障がい者福祉委員会も、関係団体から意見を聞きながら検討を進めている。支援策をさらに充実させる法改正につなげたい。


厚生労働省によれば、障がい者の人数は増加傾向にあり、高齢化も進んでおり、こうした課題への対応が焦点だ。


総合支援法は、入浴や食事の介護といった障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合、介護保険の利用を優先すると定めている。そのため、障害福祉サービスを利用してきた障がい者が65歳を迎えると、介護保険の第1号被保険者となり、介護保険サービスに移らざるを得ないケースが多い。


障害福祉サービスは、多くの障がい者が無料で利用できるが、介護保険サービスでは利用者負担が生じる。厚労省は「社会保障制度の原則は保険制度優先」としているが、一般の高齢者と比べて障がい者は所得や資産が少ない。何らかの負担軽減ができないか、政府は検討すべきだろう。


また、サービスを提供する機関は、障害福祉サービス事業所から介護保険事業所に移る。環境の変化で障がい者が心身に不調をきたすケースもある。慣れた事業所で継続したサービスを希望する声は珍しくない。


障害福祉サービス事業所でも、一定の基準を満たせば介護保険事業所の指定を受けることは可能だ。実際、埼玉県の東松山市では、障害福祉と介護保険の両サービスを一体的に行う「総合福祉エリア」を設けている。サービスの円滑な移行ができ、利用者も顔なじみの職員からケアを受けられる利点がある。こうした取り組みを広げたい。


一方、障がい者が自分の能力を生かしながら活躍する機会は増えており、こうした面も検討課題だ。


障がい者が農作業の担い手として働く「農福連携」は、農業の担い手確保と障がい者の就労を後押しする試みとして有効だろう。在宅でも働けるテレワークなどとともに普及に力を入れるべきだ。

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