e地方創生 本格化する小さな拠点づくり
- 2015.12.24
- 情勢/解説
公明新聞:2015年12月24日(木)付
政府は、地方創生を実現するための国の施策を盛り込んだ「総合戦略」の改定案をまとめた。改定案は年内にも閣議決定される。
国の総合戦略を受けて、各自治体が進めている「地方版総合戦略」の策定作業が2015年度中に終了し、地方創生は16年度から、具体的な事業を本格的に推進する第2ステージに移る。改定案では、地方創生の新局面を迎える来年度から着手すべき事業が示されている。
特に重点的に取り組む事業の一つとして、改定案で掲げられているのが「小さな拠点」づくりである。
小さな拠点とは、少子高齢化と人口減少の急激な進行で過疎化が進む中山間地域などの生活環境を改善するため、診療所や商店などの生活に必要な施設を集約した中心集落である。公共交通の空白地域で走行する小型バスであるコミュニティーバスの導入などによって、生活の拠点となる中心集落と周辺の集落との行き来も容易にする。
改定案では、20年までに小さな拠点を1000カ所創設するとした具体的な数値目標も新たに示した。
総務省によると、過疎地の中でも、65歳以上の高齢者が住民の半数以上を占め、生活圏としての地域の維持が困難になっている「限界集落」の数は1万を超えるという。
そうした地域で、将来にわたって住民が安心して暮らし続けることができるようにするためにも、小さな拠点づくりを急がなければならない。公明党も「住み続けられる地域づくり」の重要性を強調し、小さな拠点づくりを進めるよう政府に訴え続けている。
地域の暮らしを維持するには、将来を担う若者の力が不可欠である。
政府が今年発表した「食料・農業・農村白書」(14年度)によると、都市に住む20歳代の若者の約47%が、農山漁村地域に定住してみたいと考えているという。
鹿児島県鹿屋市輝北地域では、転入してきた若者を、小さな拠点を運営する住民自治組織の一員として積極的に受け入れ、意見を反映している。都市部の若者に見られる「田園回帰」の願望にも着目しながら、小さな拠点づくりを進めることが重要である。