eコラム「北斗七星」
- 2015.12.28
- 情勢/社会
公明新聞:2015年12月26日(土)付
正月に家族でワインでも、と入ったリカーショップ。「日本ワイン」と書かれたカラフルなポップ広告が目に留まった。よく目にする国産ワインと日本ワインの違いを店主に聞き、驚かされた◆国産ワインは海外から輸入したブドウ果汁やワインを使って日本国内で製造されたワイン。一方、日本ワインは日本産ブドウのみを原料にした純国産ワインとのこと◆帰宅して調べてみると、この定義は業界の自主基準。まだラベルに明示されていない商品も多く、分かりにくい。また日本ワインはここ数年、海外コンクールでの受賞も相次ぎ、品質は急速に向上しているが、輸入も含めた国内ワイン市場全体でのシェアは2%程度にとどまる◆このため国税庁は10月末、同自主基準をラベルの表示ルールとして3年後に実施することを決めた。実施されれば日本ワインに限り、地名やブドウの品種・収穫年を表示できるようになる◆全国で200カ所以上といわれる国内ワイナリーも、観光客受け入れなどで日本ワインをアピールしている◆だが、環太平洋連携協定(TPP)の発効による輸入品の価格低下や農家の高齢化などを踏まえれば、今後はさらに、若手の人材育成による生産力向上など「日本ワインのブランド化」を力強く推進する国や自治体のバックアップが欠かせない。(翼)