e教職員定数 実情見据え一層の体制整備を
- 2015.12.28
- 情勢/解説
公明新聞:2015年12月28日(月)付
全国の公立小中学校の教職員定数が来年度、実質的に増えることとなった。
学級数で自動的に決まる「基礎定数」は少子化による自然減などで4000人減るものの、いじめ対策など学校現場が抱える諸課題に応じて配分される「加配定数」が525人増となったためだ。来年度政府予算案に盛り込まれた。
教職員定数をめぐっては、財務省と文部科学省の間で激しい攻防が繰り広げられ、来年度予算編成の"隠れた焦点"となっていた。
財務省は、少子化の進行に伴い、2024年度までの9年間で3万7000人の削減が可能と試算し、来年度は3500人を削減するよう求めていた。厳しい財政状況下、文科省予算の3分の1を占める教職員人件費を抑えたい財務省の気持ちは理解できる。
問題は、削減対象に加配教員も含まれていたことだ。
加配教員は現在、全国に6万4000人を数え、いじめや不登校などへの対応のほか、障害を持つ子どもや外国人の児童・生徒への指導などにも当たっている。少人数学級や習熟度別授業も加配教員を抜きに語れない。
そんな現状を思えば、文科省はじめ教育界が「加配定数の削減は学校現場を崩壊させる」と危機感を抱いたのは当然だったと言うべきだろう。公明党も「多様化、複雑化する教育現場にあって、教職員の機械的削減は許されない」として、加配定数の確保を政府に強く要望した。
こうした声を受けて、政府が加配定数の増加を決めたことは率直に評価したい。
ただし、今回の措置は来年度1年間に限ったことであることを忘れてはなるまい。教職員定数をめぐって、財務、文科両省が毎年のように予算編成で揉める光景にそろそろ終止符を打つことが必要だ。
そもそも日本の国内総生産(GDP)に占める公的教育支出の割合は、経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最低レベルにある。これでは「国家百年の計」たる教育の拡充が叶うはずはあるまい。
未来への投資である教育支出はどうあるべきか。将来にわたる確かな人員配置体制の確立に向け、本格的な議論を始める時が来ていることを強調しておきたい。