e福島の事業再開手厚く支援
- 2015.12.28
- 情勢/経済
公明新聞:2015年12月28日(月)付
「官民チーム」が現場の声受け止め
今年度補正予算案に228億円
専門家による相談体制強化
初期投資費の4分の3補助
18日に閣議決定された2015年度補正予算案には、東京電力福島第1原発事故からの復興に不可欠な福島の被災12市町村の商工業再開を支援するため、228億円が盛り込まれた。今回の支援策の特長は、高木陽介経済産業副大臣(原子力災害現地対策本部長=公明党)の下で8月に発足した「福島相双復興官民合同チーム」の取り組みに基づき、これまで以上に現場の声が反映されている点にある。
同チームは、約2年で12市町村内の8000事業者を個別に訪問する計画で、被災事業者の実態に即した事業再開や生活再建を後押ししている。これまで約2900事業者を訪問する中で寄せられた声は、「事業再開の前後こそ、専門的なコンサルティングの相談体制を」「単独の個人事業主の事業再開を後押しする制度が必要」「販路開拓支援がほしい」など、切実なものばかりだった。
事業者の生の声を重く受け止めた支援策は、二つの柱を据えた。一つは、カウンセラーや税理士らの専門家チームを編成し、コンサルティング支援を強化。再開に向けた障壁を一つずつ取り除くことで、活路を開く起爆剤になり得る。
二つ目が、中小・小規模事業者の再開に向けた初期投資などの補助金。個別事業者への補助金制度は「現場から生まれた本邦初の施策」(事務局)だ。既存の「グループ補助金」では、避難を強いられたことでグループを組む相手がいないなど、支援を受けられなかった事業者にとって強力な武器となる。地元で再開をめざす事業者の初期投資に対し、1000万円を上限に費用の4分の3を補助するとともに、現在の避難先で再開しつつ、将来は地元に戻る意向の事業者には3分の1を助成する方針。
これまで、既存の制度を紹介する中、事業再開へ動き出す事業者も出てきた。チームは今後も事業者を訪問する一方で、一度訪れた事業者を再訪してさらなる支援に当たる予定。「一人でも多くの成功例が出ることで、将来を決めあぐねている方々の後押しになれば」と意気込む。
公明党は、11月11日の参院予算委員会で、浜田昌良参院議員がチームの取り組み促進を求めたほか、高木経産副大臣と連携し、一貫して支援拡充を後押ししてきた。1月4日から始まる通常国会では、補正予算案の早期成立、執行に全力を挙げていく。
志高く、寄り添い続ける
福島相双復興官民合同チーム長 福井 邦顕氏
チームの発足以来、約2900事業者を訪問することができたのは、一つの成果ではないか。個々の事業者の状況は千差万別だが、それらの現場の声を伺うことで、今回の支援事業につながったと確信している。
今後、本格的な再開支援を進めるためにも今回の補正予算案は重要だ。特に、単独の個人事業者向けの補助金制度が盛り込まれたことは、12市町村の厳しい実情を踏まえた極めて異例な措置であり、事業者にとって朗報だ。
また、専門家のコンサルティング支援も重要で、再開に限らず、その後の継続的な事業の定着や拡大の可能性も出てくるので、期待を込めて力を入れていきたい。
これからが勝負時であり、事業者に寄り添い続け、再開にこぎつける方が一人でも多くなるよう支援していかなければならない。福島の復興に貢献できるよう、志を高く持って取り組んでいく。