eコラム「北斗七星」

  • 2016.01.05
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年1月5日(火)付



数えたことはないのだが、動物が登場する格言は世界各地にあまたあるようだ。例えば「牛の前を荷車が行く」。キューバの格言で、頭の中が整理できず、ちぐはぐになりがちな人をいう◆一見すると妙案なのに、実行が難しいことを意味する「猫の首に鈴を付ける」は、イソップ童話の「ネズミの会議」から生まれた。今年の干支の「申」は、動物でいえばサル。一般に申年の人は明朗で頭の回転が速いとされるものの、格言には「猿の尻笑い」など、警句が多い◆サルに限らず、人間から"上から目線"で見られがちな動物。ところが近年、研究が進み、常識が覆されることも。ニホンザルの群れを束ねるボスザル。一部の専門家によれば、「餌づけされていない野生の群れにボスはいない」(読売)という◆カエルも興味深い。卵からオタマジャクシになりカエルに変わるというのが常識だが、インドネシアにはオタマジャクシを産むカエルがいる。いきなり子ガエルを産む種類も。働き者の代名詞・アリの場合、2割が巣穴の修復に備え休んでいる◆ちなみに、アリは「千丈のつつみは螻蟻の穴を以て潰え」と、中国の古典『韓非子』(岩波文庫)に出てくる。巨大な堤防もケラやアリなど小さな虫の穴から決壊するという意味だ。わずかな緩みが、ちぐはぐな対応を生み、崩壊を招く。心して論戦に臨みたい。(田)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ