eコラム「北斗七星」

  • 2016.01.07
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年1月7日(木)付



昨年7月に高松市からカンボジアへ移住し、衛生教育などのNGO(非政府組織)活動を展開している楠川富子さん(70)が一時帰国し、あるベテラン女性党員の紹介を受けて現地の話を聞いた◆楠川さんは、看護師として長年勤めた病院を59歳で退職後、国際協力機構(JICA)のシニア海外ボランティアに応募。クメール語を学び、2006年から通算4年半、首都プノンペンの国立小児病院で看護師の育成などに尽力した。首相表彰や国王からのゴールドメダル授与など、その功績は高く評価されている◆約20年間の内戦による現地の人材不足は深刻で、「何よりも命の大切さを教えなければ」と痛感。派遣から帰国した後も、衛生環境が整わないために助かる命が失われていく厳しい状況が頭から離れず、「現地の人たちに寄り添い続けたい」と、身の回りを整理して移住を決意したという◆現地では学校の一角に保健室を設置して、子どもたちが自分で健康を守れるように、手洗いや歯磨きを教え、トイレやゴミなどの衛生向上にも取り組んでいる。学校保健を根付かせるモデルにしたいと語っていた◆「何もいりません。情熱一つあれば大丈夫です」。第2の人生で海外へ飛び出した勇気と最善の努力を続ける行動力、その真っ直ぐな心に元気をもらった。(祐)

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