e子どもの成長環境守る

  • 2016.01.18
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年1月18日(月)付



エコチル調査 5年報告相次ぐ
妊婦の喫煙で 赤ちゃん「低体重」傾向
3歳児の7%が寝不足に


生活環境中の化学物質が子どもの成長に与える影響について長期的に調べる「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)が、今年度に開始から5年目を迎えた。16日には都内で記念シンポジウムが開かれ、これまでの調査結果が発表された。

公明が導入推進

同調査は、近年、増加傾向にある子どもの病気と環境要因との関係性を解明し、原因となる化学物質の規制や適切なリスク管理につなげ、安全で安心な子育て環境をつくることが目的。大規模な国家プロジェクトとして行われており、環境の党・公明党が導入を推進した。

シンポジウムでは、調査に当たる医療関係者がこれまでに得られた主な成果について報告した。国立環境研究所参与で調査全体を指揮する川本俊弘氏は、妊婦の喫煙が胎児の発育に及ぼす影響として、約1万人の妊婦を対象にデータ集計したところ、喫煙経験のない母親から生まれた男児の平均的な体重は3096グラムだったのに対し、喫煙中の母親の場合は同2960グラムと低体重の傾向があることを紹介。女児の場合も同様の数値を示したとして、「お母さんの喫煙状況と生まれてくる赤ちゃんとの体重は関係している」と述べた。

また、エコチル調査の医学的支援を行う国立成育医療研究センター生体防御系内科部アレルギー科医長の大矢幸弘氏や、山梨大学大学院の山縣然太朗教授らは、対象者に生活環境などを尋ねる質問票に基づく調査結果として、日本の子どもは諸外国に比べて睡眠時間が短い傾向にあると報告。

具体的には、3歳児の約3割が午後10時以降に就寝し、約7%は睡眠時間が10時間以下の寝不足状態にあることが判明。理由として、共働き家庭が増加し母親の帰宅時間が遅くなっていると指摘した。その上で、10~13時間眠ることが推奨されるとし、短い睡眠による脳や身体などへの悪影響が懸念されていると強調。「エコチル調査で出てきた成果が子育てに重要な示唆を与えている」とした。

環境省は、エコチル調査で得られたより詳細な結果を随時、公表していくとともに、取り組みに対して国民の理解、協力を呼び掛ける方針。


エコチル調査

環境省と国立環境研究所を中心に全国15地域の大学医学部などと連携して実施。全国で計約10万組の子どもとその両親の協力を得て、子どもがおなかにいる時から13歳になるまで続けている。2010年度から医療機関を受診した妊婦などを対象として調査への協力を募り、参加者を徐々に拡大しながら14年度から本格化し、26年度まで継続的に追跡調査していく。エコチルとは「エコロジー」と「チルドレン」を合わせた造語。

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