eバス事故の再発防止へ

  • 2016.01.25
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年1月23日(土)付



党国交部会が対策協議
出発前に抜き打ち監査
政府から現状報告



公明党国土交通部会(樋口尚也部会長=衆院議員)は22日、衆院第2議員会館で会合を開き、長野県軽井沢町のスキーバス転落事故について、国土交通省の説明を受けるとともに、同省に対し、スキーバスの運行が最盛期を迎える中で、安全確保を最優先に、緊張感を持って再発防止に取り組むよう求めた。

席上、あいさつした樋口部会長は、犠牲になった方々に哀悼の意を表し、「国交省をはじめ関係機関には、公共交通、旅行業界にとって安全こそが最優先のサービスであるという認識を新たにし、再発防止へ万全の対策をするようにお願いしたい」と強調。党として具体的な対策の提案に向けて早急に検討を進める考えを示した。

国交省側は、事故の概要と同省の対応などを説明。事故を起こした事業者に対する監査で判明した法令違反として、(1)始業点呼の未実施(2)詳細な走行ルートが書かれた運行指示書の未作成(3)運転者の健康診断の未受診(4)安全コストを踏まえた法定基準の下限を下回る運賃での運行――を挙げた。

また、21日夜には、東京・新宿の路上で、スキーツアーなどに出発する前の夜行バス6台を監査し、運行指示書や交代運転手の有無などを調べたことを報告。こうした街頭監査や処分歴のある事業者などへの集中的な監査を今後も抜き打ちで行うとした。

公明党の出席者からは、国交省に対し「今も貸し切りバスは全国で運行されている。同様の事故が起こりかねないとの危機感と緊張感を持って再発防止に取り組んでもらいたい」と重ねて要請。さらに、今回の事故では乗客の多くがシートベルトを装着していなかったとされることから「航空機並みの規定でシートベルトの着用を促すべきだ」と訴えた。運賃に関する速やかな実態調査などを求める意見も出された。


参入基準 見直しも 国交省検討委


長野県軽井沢町のバス転落事故では、規制緩和でバス事業参入が容易になった半面、安全が軽視されている実態が浮き彫りなった。事故を受けて国土交通省は22日、有識者らで構成するバス事故対策検討委員会を設置。監査体制の強化や参入基準の見直しを始めた。

観光バス業界は訪日外国人客の増加もあり納車まで1年待ちが続くなど活況を呈しているが、国交省は参入審査や法令違反した事業者の行政処分の厳格化を検討。バスの運転に必要な大型2種免許保有者の運転技術のチェックを強化し、安全対策の徹底を図る。

貸し切りバス事業をめぐっては、2000年に改正道路運送法が施行され、事業参入は免許制から、資格要件をチェックする許可制へ移行した。事業者は全国に4512社(13年度現在)あり、1998年度の約2倍に増えた。

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