eコラム「北斗七星」
- 2016.01.26
- 情勢/社会
公明新聞:2016年1月26日(火)付
聖徳太子によるといわれる『十七条憲法』には「人には皆、党があり、悟っている者は少ない」(現代語訳)とある。党(黨)を「無明から発する党派心」とする説もある◆現代において、政党の争いは、活力ある民主主義に不可欠である。対抗する勢力がさまざまな民意を受け止め、選挙で争い、議会で論議を重ねて、国民の利益になる政治決定を重ねていくことが期待されているからだ◆問題はその争点である。坂野潤治氏の『日本近代史』では、1920年代から30年代にかけて、わが国の二大政党が、外交、憲法問題、経済政策という国の基本方針で、ことごとく対立し、日本全体が大混乱していく様子が分かりやすく論じられている◆与党と野党の主張が大きく異なり、政権が変わるたびに国のあり方が激変するような恐れがあれば、国民は安心できない。少数だったはずの異論が勢いを得て、混乱が広がることもあるだろう◆最大野党の民主党が現在、安全保障だけでなく、環太平洋連携協定(TPP)や消費税アップに伴う軽減税率の導入など重要課題で、政権との対決姿勢を前面に打ち出しているのは残念だ。国のあり方について、まず党内合意を形成し、与党の見識との極端な違いを埋めていくことが、中長期的には同党の信頼回復につながると思うのだが。(山)