e経済再生し「総活躍」実現
- 2016.01.28
- 情勢/社会
公明新聞:2016年1月28日(木)付
賃上げを中小、地方で
軽減税率に安定財源 社会保障削減の心配なし
衆院本会議で井上幹事長
衆院は27日、本会議を開き、安倍晋三首相の施政方針演説などに対する各党代表質問を行った。公明党の井上義久幹事長は、賃上げなどによる「経済の好循環」の加速で経済再生を確実にし、一人一人が自己実現できる「1億総活躍社会」を築く必要性を強調。東日本大震災から丸5年を前に、「人間の復興」へ「被災者と共に闘い続ける」との決意を語った。
中小企業 生産性向上へ支援必要
医 療 必要な病床は確保せよ
がん対策 離職を防ぐ就労環境に
防災・減災 「国民会議をつくる」国交相が明言
【経済再生】
井上幹事長は、確実な経済の好循環へ「政策の総動員が必要」と力説し、地方や中小企業でも賃金上昇を実現するため、収益拡大や生産性向上などに向けた支援策の強化を要請。安倍首相は「中小企業の収益が拡大する環境の整備に取り組む」と応じた。
【農林水産業】
環太平洋連携協定(TPP)による影響が懸念される農林水産業について、井上幹事長は「経営安定対策や体質強化対策などを着実に実行し、生産者の声にきめ細かく対応すべき」と主張。安倍首相は「現場の声に耳を傾けながら政策を講じる」と述べた。
【軽減税率】
消費税の軽減税率について、井上幹事長は、導入前に安定的な恒久財源を確保するとの与党の方針に言及。「社会保障が削られる」との批判には「その心配はまったくない」と強調し、見解を聞いた。安倍首相は「社会保障と税の一体改革における2.8兆円程度の社会保障の充実に必要な財源を確保していく」と述べ、すでに決定している社会保障の充実を削る考えはないことを表明した。
【子育て・介護】
井上幹事長は、政府が「1億総活躍」への目標に掲げた「希望出生率1.8」や「介護離職ゼロ」に関して、子育てと親の介護が重なるダブルケアの問題を取り上げ、「仕事との両立を可能とする『働き方改革』が不可欠」と力説した。
【医療・がん対策】
各都道府県が策定する「地域医療構想」について井上幹事長は、必要な病床確保へ「実効性ある計画策定が必要」と指摘。地域で医療や介護などのサービスが受けられる「地域包括ケアシステム」との一体的な取り組みの重要性を訴えた。
がん対策では、第3期「基本計画」策定に当たり、公明党の主張で実現した「がん登録」のデータ活用を主張。検診受診率向上や緩和ケアの普及、離職を防ぐための就労支援の充実などを求めた。安倍首相は「がんになっても安心して暮らせる社会の構築へ、がん登録のデータを活用しつつ対策を進める」と答弁した。
【復興、防災・減災】
復興加速に関して井上幹事長は、水産加工業などの再興へ、販路開拓やノウハウ提供を「官民連携で支援することが必要」と主張。
防災・減災では、インフラの老朽化対策を通じて「メンテナンス産業の育成や建設産業の担い手確保につなげよ」と訴えた。石井啓一国土交通相(公明党)は、来年度、産学官連携で老朽化対策を進める「インフラメンテナンス国民会議を創設する」と表明した。
【外交、安全保障】
井上幹事長は、今年、日本で開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や日中韓サミットの開催について「国際社会をリードするチャンス」と強調。平和安全法制に関しては、「運用のプロセスを通じて安全保障上の備えに万全を」と求めた。