e携帯の「2年縛り」 是正は更新の1カ月延長だけか

  • 2016.01.29
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年1月29日(金)付



不公平感がなく、使いやすい仕組みを考えてほしい。

携帯電話大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)は3月以降、2年契約を前提とする「2年縛り」を是正する方針として、利用者が違約金なしに解約できる更新月を現在の1カ月間から「2カ月間」に延長する。

更新月の延長は、昨年12月に総務省から要請を受けた料金・サービスの見直しとされるが、利用者からみれば、契約が2年間拘束される状態は変わらず"肩透かし"に遭った感は否めない。各社には、さらなる努力を求めたい。

2年縛りは、2年間の契約を条件に各社が利用料金を大幅に割引する一方、利用者が途中で解約すると違約金がかかる仕組みで、契約から2年経過後の1カ月間だけは違約金なしで解約できる。利用者の約9割は2年契約を結んでおり、事実上の"囲い込み"との指摘もある。

大半の利用者にとって、2年間の拘束に対する抵抗感は強く、自らのニーズに合ったサービスを選びたいはずだ。ところが、各社の契約のあり方はそうなっていない。

各社は、新たな購入者に端末(スマホなどの機器)の購入補助(キャッシュバック)のサービスを行っている。これが長期利用者との不公平さを生んでいる要因の一つだ。しかもこのような仕組みは、日本でしか見られない。海外では、安く端末を買う利用者は高い通信料を払ったり、端末代は端末代、通信プランは通信プランと両方が連動しない形となっている。

このため、総務省は「利用者がニーズに合わせて、通信サービスと端末を自由に組み合わせて利用できるようにする」方策を求めたのであって、各社は海外の事例も参考に再検討してもらいたい。

今や携帯電話は、国民1人当たり1台以上の1億5000万台が普及する時代である。利用者は若者から高齢者まで幅広く、用途も多様だ。各社は、乗り換えする人、多く利用する人、少しだけ使う人、それぞれに適した仕組み・契約のあり方を考えてほしい。

番号ポータビリティー制度の導入によって「乗り換え」はしやすくなった。各社の改革次第で、利便性はさらに高まることは間違いない。

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