e防災ラジオを全戸に無償貸与
- 2016.02.01
- 情勢/社会
公明新聞:2016年2月1日(月)付
山間部など難聴地域が解消
岐阜・瑞浪市
岐阜県瑞浪市はこのほど、災害時などの緊急情報を迅速かつ確実に住民に伝えるため、出力が大きく建物の密集地や山間部でも電波が届きやすい280メガヘルツの周波数帯(ポケットベルと同じ)を使用した防災ラジオ(AM・FMラジオ機能付き)を全戸に無償貸与(各世帯に1台)した。これにより、豪雨などの際に防災行政無線が聞き取りにくかった難聴地域が解消されることになった。同市生活安全課によると、こうした防災ラジオの無償貸与は全国で初めて。
電波障害に強い周波数帯(280メガヘルツ)を活用
この防災ラジオは、同市が新たに導入した「280メガヘルツ帯デジタル防災無線」を受信するための端末。この周波数帯は、電波障害に強く、山間部など広範囲をカバーでき、一般的な受信機よりも音が鮮明に聞こえることが特徴。生活安全課によると、昨年12月に行われた緊急情報の試験放送では、順調に情報を伝達できたという。
また、同ラジオは電源を切っている状態でも、防災行政無線や緊急情報の場合には自動的に起動し、最大音量で流れる。特に、全国瞬時警報システム(J―ALERT)による緊急地震速報や避難情報など、緊急を要する放送は赤ランプの緊急灯も点滅する仕組みになっている。AM・FMラジオを聞いている場合も自動的に緊急放送に切り替わる。さらに聞き直し機能もあり、最後に配信された緊急情報を繰り返し聞くことができる。
同市は今回、防災ラジオを約1万3000台用意。自治会を通じて各戸に貸与し、自治会に加入していない住民や同市への転入者には、市役所やコミュニティーセンターで貸与する。
同市の緊急情報はこれまで、防災行政無線や市のホームページ、市が運営する登録制のメール(絆メール)などで配信されてきたが、防災行政無線は豪雨時などに雑音が多く、放送内容が聞き取りにくい地域があったほか、絆メールは登録者数が少ないなど、いずれも確実な情報伝達に課題があった。
こうした状況を打開するため公明党の榛葉利広市議は、2009年9月の定例議会で、防災行政無線が聞こえにくい地域を解消できる受信機として防災ラジオを提案し、早期導入を推進してきた。
全戸への貸与が実現したことを受けて榛葉市議はこのほど、家庭での設置状況や音声などを確認するため、防災行政無線の難聴地域の住民宅を訪問。このうち西尾眞卓さんは、「これまでは聞こえにくいことがたびたびあった。今は放送内容がはっきり聞こえる防災ラジオが家にあるのでありがたい」と語っていた。