e北のミサイル通告 度重なる挑発行為を許すな

  • 2016.02.05
  • 情勢/国際

公明新聞:2016年2月5日(金)付



国際社会の警告を無視した身勝手な振る舞いを、いつまで続けるのか。

北朝鮮が、2月8日から25日の間に「地球観測衛星」を打ち上げると国際機関に通告した。平和目的の宇宙利用としているが、事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験とみられる。

1月6日に4回目の核実験を突如行ったばかりだが、核の運搬手段となるミサイルの発射実験が強行されれば、国際社会の平和と安定を揺るがす重大な挑発行為であり、断じて許されない。北朝鮮は、厳に自制すべきである。

今回の通告は、脅威を高めて米国などに対話を迫ることが目的とみられている。5月に開く朝鮮労働党大会に向けた国威発揚も狙いだろう。しかし、いかなる理由であろうと、核実験や弾道ミサイルの発射を禁じた国連の安全保障理事会(安保理)決議に違反していることは明白だ。

一方で、北朝鮮が核実験やミサイル発射をやめない背景には、国際社会の足並みの乱れもある。

1月の核実験に対する安保理の制裁決議をめぐって米中両国が制裁内容で対立しているため、核実験から1カ月近く経過しながら、いまだに採択されていないのは遺憾だ。

今こそ日本は、安保理の非常任理事国、そして今年の主要国首脳会議(G7)議長国として関係国に働き掛けるなど、外交イニシアチブを発揮すべきだ。一刻も早く安保理の議論を前に進め、実効性のある制裁によって北朝鮮への圧力を強めなければならない。北朝鮮に発射を思いとどまらせる外交努力も国際社会に求められる。

仮にミサイルが発射されると、沖縄県の先島諸島付近の上空を通過する恐れがある。国民の安全確保に万全を期すとともに、切り離された部品の落下などにも備えなければならない。

政府は、自衛隊に破壊措置命令を出し、イージス艦の迎撃ミサイルと地対空誘導弾パトリオットで迎撃態勢を取る。米韓両国とも情報を緊密に共有し、不測の事態に備えた警戒が欠かせない。

併せて、わが国周辺の北東アジアが緊迫した情勢にあるとの認識を多くの国民が共有したい。

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