e衆院予算委 斉藤税調会長の質疑(要旨)
- 2016.02.16
- 政治/国会
公明新聞:2016年2月16日(火)付
軽減税率 各国で定着する世界標準
首相「安定的な恒久財源を確保」
事業者の負担増に配慮必要
15日の衆院予算委員会で公明党の斉藤鉄夫税制調査会長が行った質疑(要旨)は次の通り。
斉藤鉄夫税調会長 民主、自民、公明の3党合意による社会保障と税の一体改革関連法で、逆進性対策、低所得者への配慮として、総合合算制度、給付つき税額控除、複数税率(軽減税率)の三つを検討するとされた。(3党合意で)民主党も軽減税率制度を低所得者対策として認めていたわけだ。一部の議員が「天下の愚策だ」などと言っているのは理解に苦しむ。
政府と自公両党は、議論を積み重ねた結果、17年4月の消費税10%への引き上げと同時に、軽減税率を導入することを決定した。給付つき税額控除や総合合算制度は、所得や資産の水準に応じた給付の前提となる所得、資産の把握が非常に技術的に難しく、現実的ではないといった課題が背景にある。
麻生太郎財務相 給付つき税額控除、総合合算制度は、対象を低所得者に絞れるという所に利点はあるが、購入額に関係なく、消費税負担が直接軽減されないので、結果として消費者が痛税感の緩和を実感しにくい。所得や資産の把握の問題もある。申請への対応の問題もある。既に給付つき税額控除を導入した米英では給付額の10~20%程度が過誤や不正による受給とされ、支給の適正性の確保という問題もある。
斉藤 軽減税率は、諸外国で確立したものといえる。付加価値税(消費税)導入国の低所得者対策の現状は。
財務相 OECD34カ国のうち付加価値税導入国は33カ国だ。このうち軽減税率は、日本とチリを除く31カ国で導入している。
斉藤 軽減税率制度は世界のスタンダード(標準)だ。金持ち優遇との批判もあるが、その論拠は間違っている。金持ち優遇批判をする人は、金持ちほど負担軽減の絶対額が大きいと言うが、低所得者ほど税負担が重くなる消費税の逆進性を考えれば、収入に占める負担軽減の割合を見なければならない。
安倍晋三首相 金持ち優遇は矛盾に満ちた批判だ。収入に占める税負担の割合で測れば、軽減税率制度の導入によって消費税負担の軽減効果が所得の低い人により大きく及ぶことは明らかだ。
斉藤 与党としても税制改正大綱に書いた通り、しっかり安定財源を見つけていかねばならない。
首相 税制改正法案には、軽減税率の導入に先立って安定的な恒久財源を確保すると明記している。これに沿って今後、政府・与党で歳入、歳出の両面にわたって聖域なく、しっかり検討していきたい。安定的な恒久財源を確保することにより、社会保障と税の一体改革における社会保障の充実に必要な2.8兆円程度財源は確保する。
斉藤 納税事務について、軽減税率制度導入から4年は、これまでの帳簿方式を改良する仕組みで行い、2021年4月からは「インボイス(適格請求書)制度」を導入し、売り手と買い手の相互のチェックやけん制が働いて、適正な税額計算ができるようになる。公正、公平な納税に大きく近づき画期的だ。しかし、これは、事業者の方に負担をかける。十分な配慮をしなくてはならない。中小企業、特に零細小売り業の方への支援が欠かせない。
財務相 事業者の準備状況を検証しつつ、しっかりと対応していく。