eコラム「北斗七星」
- 2016.02.19
- 情勢/社会
公明新聞:2016年2月19日(金)付
「きょうは○○の薬ですね」。薬局の待合室に病名を確認する声が響きわたる。順番を待つ数人の耳にも届いたはず。「○○との病名まで言わないでほしい」との言葉が出掛かった。すぐに薬の説明が続いたため、不愉快な思いを抑えたまま聞き入るしかなかった◆先日、初めて行った調剤薬局での出来事。周囲に話すと、同じような経験をした人は少なくない。特に○○が、人に知られたくない病気である場合は、怒りがこみ上げてこよう◆最近見たテレビ番組でも、病気が「痔」であることの確認を求められた、との苦い体験談が紹介されていた。薬局からすれば、口頭で病気や症状を聞いて、処方する薬に間違いがないか確かめないといけないのだろう。安全重視の姿勢は患者にとってもありがたい◆問題は確認の仕方。普段よく利用する別の薬局では、病名を周囲に分からないようにして聞く配慮や、メモに病名を書いて確認する工夫をしていた◆4月からの診療報酬改定では「かかりつけ薬局」の普及が進められる。かかりつけ医と連携して、患者の薬に関する情報を一元的・継続的に管理。薬の重複や飲み残しの解消などが期待されている◆患者に寄り添う薬局が増えることは歓迎すべきことだが、加えて、どこの薬局であっても、例外なくプライバシー重視であってほしい。(辰)