eコラム「北斗七星」
- 2016.02.22
- 情勢/社会
公明新聞:2016年2月22日(月)付
誤嚥性肺炎―聞き慣れない言葉だが、65歳以上の人は、ぜひ覚えておきたい病名だ。というのも、日本人の死亡原因で肺炎は、65歳以下では上位に顔を出さないが、65歳以上になると突然4位、80歳で3位、90歳で2位と高齢になるほど高い死因となっていく。さらに高齢者の70%以上の肺炎が誤嚥性ともいわれる◆嚥とは「飲み込む」という意味。ツバメ(燕)の子どもが餌を丸呑みする姿から、この漢字が当てられたという。ツバメは英語でスワローというが、こちらにも「飲み込む」という意味がある。人里で子育てをするツバメは食事風景を容易に観察できることから、東西で一致した意味になったという見方も◆飲食物、胃液などが誤って気管や気管支に入ることを誤嚥といい、誤嚥性肺炎は、その際唾液などとともに細菌が肺に流れ込み生じる。同肺炎は再発を繰り返す特徴があり、そのため耐性菌が生まれ、優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難に陥るケースが多いという◆同肺炎防止には何よりも口腔ケア(口の中の雑菌を減らすなど)を心掛けることだ。歯科医に相談すればアドバイスがもらえる◆食後2時間程度、座位を保つことも大切だという。「食べてすぐ横になると誤嚥性肺炎になるよ」とおじいちゃん、おばあちゃんに伝えてほしい。(爽)