eコラム「北斗七星」

  • 2016.02.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年2月25日(木)付



松下幸之助氏は創業間もない頃から、従業員にこう話していた。「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、人をつくるところでございます。併せて電気器具もつくっております。こうお答えしなさい」と。優れた技術や設備がそろっていても、人が育たなければ事業は発展しない◆その人づくりについて、松下氏はまた「社員稼業」という考え方を示していて興味深い。たとえ会社で働く一社員の立場でも、社員という稼業、つまり一つの独立した事業を営む経営者であるという意識で取り組むことを訴えている◆地方創生に向けて、各自治体の地方版総合戦略が来月末までにほぼ出そろう。多くの自治体が人口減少の抑制に腐心する中、移住者受け入れの実績を挙げる島根県海士町(隠岐諸島)は、既に発表している戦略の中で人口増を掲げた◆そのカギは、廃校寸前だった隠岐島前高校の生徒数を島外からの留学生を受け入れてほぼ倍増させた「魅力化プロジェクト」。島全体を教科書と捉え、生徒たちが地域の課題解決策を主体的に考えて実践する教育カリキュラムが好評だ。地域への誇りと愛着が育まれ、「将来、島に帰って起業したい」という卒業生も増えているという◆地方創生の主役は担い手である「人」だ。人づくりを中心に据えた取り組みが期待される。(紀)

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