e弱者の視点で政策提案
- 2016.02.26
- 政治/国会
公明新聞:2016年2月26日(金)付
震災復興、教育、医療など
衆院予算委分科会
衆院予算委員会は25日、各省庁別に分かれて予算案に関する審議を行う分科会を開き、公明党の各氏が国民生活に密着したさまざまなテーマを取り上げ、論戦を展開した。
在宅被災者に支援の手を
真山氏
第1分科会で真山祐一氏は、東日本大震災で津波被害を受けたり傾くなど、損壊した自宅に今も暮らす在宅被災者の問題に触れ、多くは行政とのつながりが薄く「生活困窮も抱えている」と指摘し、「実態をしっかりつかみ支援の手を」と訴えた。
高木毅復興相は、来年度予算案で被災者支援総合交付金を大幅に拡充し、円滑な住宅移転や生活再建のメニューを追加していると紹介。相談支援を在宅被災者にも行い「自治体と共に在宅の被災者に対しても支援したい」と答えた。
これに対し真山氏は、「補助メニューを使っていない、知らない方々がいる」と述べ、支援体制のさらなる強化を求めた。
さらに真山氏は、福島県の農業再生に向け、東京電力福島第1原発事故による風評被害解消までの借り入れ返済の猶予や、既存の農業事業から新たな事業に転換する際の二重ローン解消を要請した。
給付型奨学金を創設せよ
中野氏
第4分科会で中野洋昌氏は、大学生向けの給付型奨学金制度の創設について質問。「子どもや若い人たちへの投資は日本の未来に対する投資」と強調し、意欲ある学生への経済的な支援を求めた。
馳浩文部科学相は「1億総活躍社会という政府の大きな方針のもとで、給付型奨学金制度の道を開いていくことが政府の大きな責任だ」との認識を示した。
一方で中野氏は、経済的な問題などで奨学金を返還できない延滞者の現状に触れ、奨学金返還困難者への支援の必要性を訴えた。
近見視力検査、学校で
角田氏
第4分科会で角田秀穂氏は学校における児童・生徒の視力検査で近くを見る「近見視力」の測定を行うように訴えた。
角田氏は、パソコンなどを使い近くを見て学習する機会が増えたことを指摘した上で、近見視力不良の子どもが全体の約5%いるとの調査を紹介。
学校の検査は「遠景視力」のみであることから「近見視力不良の子どもは発見されず、学習に集中できていない可能性がある」と指摘し、近見視力検査の実施を求めた。
これに対し、文部科学省側は、近見視力不良の発見に向けた取り組みを行うと答えた。
難聴者の実態把握すべき
国重氏
第5分科会で国重徹氏は、身体障害者手帳を持つ聴覚障がい者以外にも、高齢化や騒音で耳が聞こえにくい難聴者が多くいると指摘。人数や症状などの実態把握を求めた。
厚生労働省側は、2016年度に行う「生活のしづらさなどに関する調査」で、具体的な場面での聞き取りにくさや難聴者のサービス利用状況などを調べて「実態をより具体的に把握する」と答えた。
また、国重氏は「耳マーク」など障がいに関するマークの周知に向け「ホームページ上にマークのクイズページを作ったり、障害者週間に開かれる子どもの絵画コンクールに合わせてマークを紹介してはどうか」と提案。内閣府側は、障害者差別解消法が4月に施行されることを踏まえて、検討する考えを示した。
一方、抗がん剤治療による副作用について国重氏は、脱毛に対する医療用ウイッグ(かつら)の金銭的支援など、患者へのケアを推進するよう訴えた。竹内譲厚労副大臣(公明党)は「指摘を踏まえて(対策を)検討する」と応じた。
衆院予算委分科会の質疑
よろず支援拠点充実を
伊佐氏
第7分科会で公明党の伊佐進一氏は、中小企業や小規模事業者のさまざまな相談にワンストップで応じる窓口「よろず支援拠点」に関して質問した。
伊佐氏は、同拠点について、「(中小企業診断士など)専門家らからの多角的なアドバイスが提供され、各地で評価の声が多い」と指摘。中小事業者のニーズにきめ細かく対応していくために、各都道府県に設置されている拠点を「さらに使いやすいように充実するべきだ」と訴えた。
経済産業省側は、2016年度予算案で同拠点の拡充経費が盛り込まれたことに触れ、「引き続き支援拠点の充実を図っていく」と応じた。
在外公館の「文化芸術大使」を提案
浮島さん
第3分科会で浮島智子さんは、海外の日本人学校への支援や在外公館における文化芸術振興の取り組み強化などを主張した。
浮島さんは、世界でテロなどが多発していることから日本人学校の耐震化・老朽化対策、安全管理強化などの必要性を強調した。また、在外公館が海外在住の日本人芸術家と交流を深め、その芸術家を民間文化芸術大使に任命するなどして日本文化を広める活動を展開すべきと提案した。
岸田文雄外相は「文化芸術大使は効果的な考えだ」と評価し、課題も含めて検討する考えを示した。
憎悪表現根絶へ 啓発を集中的に
樋口氏
第3分科会で樋口尚也氏は、ヘイトスピーチ(憎悪表現)の根絶に向け、政府の見解をただした。
樋口氏は、法務省が作成した「ヘイトスピーチ、許さない。」とのポスターを集中的、重点的に周知させるべきと指摘。岩城光英法相は「いろいろな工夫を考えたい」「集中的な啓発活動も含め、粘り強く地道に取り組む」などと答えた。
樋口氏は、急増する訪日外国人旅行者に対応するため、空港の出入国管理体制の整備も訴えた。