e広げよう成年後見制度

  • 2016.03.03
  • 情勢/社会
[画像]メインイメージ

公明新聞:2016年3月3日(木)付



高齢者らの権利を守る



認知症高齢者など判断能力が不十分な人の権利を保護する成年後見制度。自民、公明の与党両党は、同制度の利用促進へ今国会に議員立法での法案提出をめざしている。普及に向けた地域の取り組みとともに、法案のポイントを紹介する。

「日本は超高齢社会。だれもが認知症や寝たきりになる可能性があります。人ごととは捉えず、今から考えてほしい」―。2月24日に東京都大田区で開かれた公明党森ケ崎支部(小峰由枝支部長=区議)の支部会。一般社団法人「よりそいコンシェル」の浪瀬幸子代表理事は、詰め掛けた100人を超す参加者を前に、こう語り始めた。

この日の支部会のテーマは「成年後見制度」。浪瀬さんは、20年以上にわたる両親への在宅介護や同制度を利用した経験を基に、講演会やカウンセリングなどを通じて"人生の最終章"をより良く締めくくるためのアドバイスを行う。

これまで、認知症による判断能力の低下をきっかけに適切な財産管理ができず詐欺などのトラブルに遭ったり、生活環境に配慮がなされないまま惨めな思いを強いられる高齢者など、数多くの事例と向き合ってきた。

浪瀬さんは、「成年後見制度は、ご自身の財産や生活を守るための制度。将来、家族や友人に迷惑を掛けないためにも、制度の活用について検討を」と呼び掛け、話を結んだ。


与党、利用促進へ法案準備


成年後見制度は、認知症や知的障がいなどで判断能力が不十分となった人を、本人や家庭裁判所が選んだ親族や第三者が「後見人」となり権利を保護する制度だ。後見人は財産管理のほか、介護保険の利用や入退院の手続きなどを担う。2000年4月に始まった。14年の利用者は約18万人だが、超高齢社会となる中で潜在的な需要はこの数字を大きく上回るとみられる。

このため自民、公明の与党両党は、同制度をより身近な制度とするための「利用促進法案」の国会提出を準備している。国に基本計画の策定を求めるとともに、後見人を育成するための支援措置などが盛り込まれている。また、後見人の不正防止へ、裁判所や行政機関による監督を強化するほか、制限されている被後見人の権利についても見直す。同法案は、日本成年後見法学会の要請を受けた公明党のプロジェクトチームが法案化した。

併せて、後見人の事務手続きをよりスムーズなものとするため民法などの改正案も提出する予定だ。

同法学会の大貫正男副理事長は、「成年後見制度の利用が極端に少ないことが、虐待や消費者被害につながっている。一刻も早く法案を成立させてほしい」と語っている。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ