e189(虐待通報ダイヤル)音声案内短く
- 2016.03.07
- 情勢/社会
公明新聞:2016年3月5日(土)付
児童相談所と警察 連携強化へ通達見直し
参院予算委で山本(香)さん
参院予算委員会は4日、2016年度予算案に関する一般質疑を行い、公明党の山本香苗政策審議会長が児童虐待防止策の強化や、発達障がいなどで読みが苦手な子どもに有効なデイジー教科書の推進を訴えた。
山本さんは、今年1月に埼玉県で起きた児童虐待死事件に言及。子どもの生前に警察が2回通報を受け、現場を訪ねたにもかかわらず、虐待なしと判断して児童相談所(児相)と連携していなかった事実を指摘し「自治体によっては虐待のあるなしに関係なく警察が児相に通告している。連携や情報共有のあり方を見直すべきだ」と訴えた。
河野太郎国家公安委員長は「全都道府県で情報共有する方向でやっていきたい」と明言。児相と警察の連携強化に関する従来の通達を見直す考えも示した。
さらに山本さんは、児相と市町村の役割分担の明確化や専門職の拡充、児相における弁護士の活用を提案。また、近くの児相に虐待の通告・相談ができる全国共通ダイヤル「189」(いち早く)について「電話がつながるまでに郵便番号や地域の選択をしなければならず、音声案内が最長2分かかる」として改善を求めた。
塩崎恭久厚生労働相は、「固定電話はつながりやすいが、携帯電話は最長2分、平均1分10秒かかる」と説明。その上で「案内時間を半分以下にし、場所を特定する番号入力などの手間を減らす。この春から実施する」と表明した。
このほか山本さんは、養親と養子が実親子関係に準じた関係になる「特別養子縁組」を、親に代わって社会的に子どもを養育する社会的養護として位置付け、推進するよう主張した。
一方、教科書の内容をデジタル化し、パソコンなどで音声再生や文字の拡大表記を行うデイジー教科書に関しては、民間団体がボランティアで製作している現状に触れ「国の支援体制が整っていない。教科書会社が製作し、提供する仕組みもつくるべきだ」と迫った。
馳浩文部科学相は(1)教科書会社でも教材の開発が行われるような環境づくり(2)民間団体への経済的支援の充実―などを「積極的に検討する」と応じた。