e闘い続ける公明党

  • 2016.03.11
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月11日(金)付



「人間の復興」果たすまで



巨大地震と津波、そして原発事故。日本中を震撼させた東日本大震災から、きょう11日で丸5年を迎えた。還らぬ家族。帰れぬ故郷。失意のどん底に突き落とされても被災者は、生き延びた命を明日へつなぎ、再建・復興の道のりを歩んできた。

この5年、政治は被災者のために何ができたのか。発災当時の民主党政権。菅直人首相が被災地に初めて足を踏み入れた日は発災から3週間以上も過ぎていた。"遅い、鈍い、心がない"初動対応はあらゆる面で空回りし、半年後に菅首相は退陣に追い込まれた。

「われわれが政治を前へ動かす」。公明党は、自らも被災者となりながら住民のために奮闘する地元議員と連携し、全党一丸となって現場へ入りきった。被災者の切実な声を基に、政府に行った政策提言・申し入れは発災から半年間だけで計16回766項目を数え、28本の議員立法をリードした。

2012年12月、自公連立政権が発足。復興は加速の軌道に乗り、「集中復興期間」を経て、今年4月から「復興・創生期間」の新たな5年に入る。避難者は今なお17万人超。その一人一人が「人間の復興」を成し遂げるまで、被災者に寄り添う決意を込めながら、大震災5年の公明党の闘いを振り返った。


被災者の暮らし


現場の要望を受け止め形に


暖冬とはいえ、三陸の浜風は刺すように冷たい。岩手県陸前高田市の市立竹駒小学校の校庭の一角に立ち並ぶ竹駒町仲の沢仮設団地。自宅の再建や災害公営住宅への転居で櫛の歯が欠けるように空室が目立つ。

「最初の冬は、寒くてたまらなかったけど、今は暖かくて快適です」。この仮設団地で、金野タミさん(80)は4度目の冬を過ごしている。同団地のプレハブは当初、窓のサッシが一重で、風呂の追いだきもできなかった。入居から2度目の冬を前に、窓は二重サッシ、玄関には風除室が取り付けられた上、外壁への断熱材や風呂の追いだき機能が追加された。

だが金野さんの部屋は、エアコンの取り付け位置が悪く、暖気が届かない。この窮状を茨城県に住む親戚の鶴田惠子さんに電話で相談。公明党員の鶴田さんは、党岩手県本部に状況を伝え、改善を求めた。同市は公明党議員がいないが、隣接する大船渡市から森操市議が飛んできた。

金野さんの話を聞いた森市議は、直ちに県の応急仮設住宅保守管理センターに働き掛ける一方、公明党の小野寺好県議と連携を取り、暖風が部屋に行き渡るようエアコンが付け替えられた。「公明党の議員って、こんな細かいことにも真剣に取り組んでくれるんですね」。金野さんは暖かな部屋で笑顔をほころばせる。

いま被災者が必要としているものは何か―。公明党は、岩手、宮城、福島の3県で展開した仮設住宅総点検をはじめ、現場の地方議員が住民の願いを受け止め、国会議員との連携で次々と形にしてきた。その力の源泉こそ、「大衆とともに」との立党精神である。

【主な取り組み】
○仮設住宅への生活家電6点セットの提供。風呂の追いだき機能や物置の設置など住環境改善
○被災者生活再建支援金の改善
○災害公営住宅整備や、引っ越しなどの入居支援金創設


被災地のなりわい


制度改善を重ね再建後押し


「また同じ場所で仕事ができる喜びはひとしお。三陸産のおいしい魚を消費者に届けるため、妥協なんてできない」。鮮魚の卸や加工を手掛ける有限会社を宮城県石巻市の魚町地区で営む秋月純市さん(54)はしみじみと語る。2012年8月、津波で失った工場を再建し、営業を再開。今では売り上げが震災前を上回るまでに発展し、従業員も増えた。

あの日、海を見渡せる漁港岸壁に近い場所にあった2階建ての工場が津波で流失した。震災発生から2日後、秋月さんは跡形もなく破壊された施設を見て、呆然と立ち尽くす。03年の創業以来、売り上げを年々伸ばすとともに、従業員数を拡大。事業がようやく軌道に乗ってきたことから、融資を受けて、念願の自社工場を震災約1カ月前の11年2月に建設したばかりだった。

秋月さんには借金だけが残った。「できることから一歩ずつ前に進むしかねぇ。やるしかない」と気持ちを奮い起こし、事業の再建を決意。そうした中で一筋の光明になったのが、公明党が創設・拡充を推進した「グループ補助金」だ。

この制度は、複数の被災企業がグループとして再建計画をつくり、工場や施設の復旧・整備費の4分の3を国と県が補助する内容。同社は11年末に補助対象に採択されたことで工場復旧のめどを付けることができ、待ち望んだ完成を見た。

「グループ補助金」は、公明党が被災事業者の声を聞き、地方議員と国会議員の連携で抜本拡充や使い勝手の改善を重ねてきた。その結果、これまで8道県の計619グループに交付が決定している。

【主な取り組み】
○「グループ補助金」の創設・拡充
○被災企業の再建を下支えする 復興特別貸付、復興緊急保証
○事業再生へ「二重ローン」救 済の公的支援機構創設
○漁港の機能回復に財政支援


ふくしまっ子の成長


伸び伸び遊べる環境に尽力


福島県いわき市に住む羽賀桃子さんは、夫と子ども2人の4人家族。5年前、羽賀さん一家は東京電力福島第1原発事故の影響が気掛かりで、今までのような外出を控えざるを得なかった。特に、外で遊ぶことを制限された長男の蒼人君(当時2歳)は、毎日、ストレスを溜め込んでしまった。そうした中、公明党の推進で子どもが安心して運動できる屋内運動施設がオープン。「つらい日々だったが、施設のおかげで子どものストレスを発散でき、公明党に感謝している」と語る。

一方、原発事故で全町避難となった富岡町に住んでいた西戸光子さんは発災後、夫と子ども3人の5人でいわき市に避難した。長男の聡太君(当時5歳)は、友達とも離れ離れになり、「家に帰りたい」と西戸さんに泣きつくこともあった。

西戸さんは「子どもに楽しい思い出をつくってあげたい」との思いから、2012年1月、親子で県の「ふくしまっ子体験活動応援事業」に応募。喜多方市でスキーなどを楽しんだ。「聡太はすごく楽しかった、また行きたいと喜んだ」と西戸さんは笑顔を見せた。

同事業は、屋外での遊びが制限された"ふくしまっ子"に、伸び伸び体を動かしてもらおうと、公明党が一貫して推進してきた。

原発事故から5年がたつ中、福島県の県内外で避難生活を続けている18歳未満の子どもたちは約2万2000人に上る。この間にも日々刻々と成長する"ふくしまっ子"。西戸さんは「子どもたちに寄り添いながら"小さな声"を政策につなげてほしい」と公明党に期待を寄せている。

【主な取り組み】
○屋内運動施設の整備
○「ふくしまっ子体験活動」の実施
○18歳以下の医療費無料化
○妊婦や子どもに携帯型線量計「ガラスバッジ」配布
○避難者対象の高速道路無料化


教訓生かす国づくり


防災・減災 「基本法」で前進


東日本大震災の教訓を踏まえ、公明党は国民の命を守る「防災・減災ニューディール」を掲げ、災害に強い国づくりを進めてきた。2013年12月成立の「防災・減災等に資する国土強靱化基本法」には、総点検やインフラ(社会資本)の有効活用、女性・高齢者の視点などの提案が反映された。

いつ、どこで起きてもおかしくない大規模災害に備えるために政府は14年6月、「国土強靱化基本計画」を決定。そのアクションプランには20年度までの住宅耐震化率95%や、大企業の事業継続計画(BCP)策定率ほぼ100%などの目標を掲げた。一方、南海トラフ巨大地震と首都直下地震にそれぞれ対応する法律も制定した。

5年前、22.6%だった全国瞬時警報システム(Jアラート)の整備率は昨年5月時点で99.4%に。最大級の津波に備えるハザードマップを作成し、防災訓練を実施する市町村は14%(12年度)から、16年度中に100%をめざす。自治体ごとの「国土強靱化地域計画」策定にも全力を注ぐ。

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