eコラム「北斗七星」

  • 2016.03.14
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月14日(月)付



最近各紙では、各界著名人による自らの介護体験記が目につくようになった。思うに任せない現実と向き合い、赤裸々に心情を吐露するものもあり、共感を覚える方もいるのではないか◆家族だけで介護を抱え込まず、周囲にSOSを出すことの大切さを訴える内容もある。記事を通して、介護はもはや家族だけに委ねられるものではなく、地域を挙げて取り組むべきテーマであることを、読む側は認識することができる◆こうした社会保障の課題もしかり。日常生活では知り得ないような事柄について、"気付き"をもたらす役目が報道にはある◆先日、宮城県内の被災地を訪ねた。多少のルート変更を伴いつつも途絶えた鉄路が復旧していた。高さ7.2メートルの海岸堤防は9割方完成した。壊滅的な被害を受けた仙台いちごの産地では、大きなビニールハウスが立ち並ぶ。確かに復興が前に進んでいる様子があった◆一方で、5年が経過した今でも、特に沿岸部では時が止まったような地域がある。初めから荒れ地だったわけではない。かつては、確かに人々の営みがあった場所なのである◆自分自身がいつ、同じ立場になるかもしれない。被災地に身を置かずとも、こう思えることが風化の防止につながる。その一端を担えるよう、引き続き伝える役目を果たしていきたい。(広)

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