eミャンマー文民政権 国際社会は民主化の後押しを
- 2016.03.17
- 情勢/国際
公明新聞:2016年3月17日(木)付
ミャンマーの民主化に大きな一歩が刻まれた。
ミャンマーの議会は15日、次期大統領にアウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が擁立したティン・チョー氏を選出した。軍人出身ではない同国の大統領は1962年のクーデター以来初めてとなる。30日の大統領就任式を経て4月1日にも新政権が発足する見通しだ。同国国民の圧倒的多数が求める民主化の流れが定着していくよう期待したい。
軍政時代にできた同国憲法下では、外国籍の息子がいるスー・チー氏は大統領になることができない。ただ、民主化運動を率いてきたスー・チー氏には、国民の強い支持があり、実質的な最高指導者として国政をリードするとみられている。
NLDが新政権を安定的に運営できるかどうか、焦点となるのが国軍との関係だ。民政に移管したとはいえ、ミャンマー国内で軍の影響力は依然として大きい。
同国議会の25%は軍人枠となっているほか、国防相や内務相なども軍人に割り振られる。非常事態には、国軍司令官に全権が委譲される仕組みもある。
ミャンマーには130以上の民族が存在し、分離・独立を求めて武力衝突が繰り返されてきた。治安維持の面からも軍の意向は無視できず、新政権が、どのように軍と調整しながら政治課題を解決していくか、現実的な手腕が求められる。
新政権の具体的な政策を定める作業も重要だ。昨年11月の総選挙において、NLDは明確な施策の方向性を示したとはみられていない。規制緩和を進めることなどで外国資本を呼び込んだ現在の経済政策を今後も継続するとみられているが、ミャンマー経済を安定的な成長軌道に乗せるには、確かな将来ビジョンを示すことが不可欠である。
軍政下で、長い間、閉鎖的な体制が続いたミャンマーでは、道路や水道、電気などのインフラ(社会基盤)整備が遅れており、こうした分野の蓄積がある日本との協力関係に期待する声は強い。ミャンマーの発展は、アジアの安定と発展にも影響するものであり、国際社会は民主化の後押しをしていきたい。