eコラム「北斗七星」
- 2016.03.18
- 情勢/社会
公明新聞:2016年3月18日(金)付
善いことをしたら白丸が一つ、悪いことをしたら黒丸が一つ。白丸から黒丸を引き、1万をめざす。広瀬淡窓は日々、「万善簿」と格闘した。67歳で達成するが、73歳で生涯を終えるまで挑み続けたという。「教育は善の大なるもの」を信条とした◆淡窓が大分県日田市に江戸時代最大規模の私塾「咸宜園」を開き、来年で200年になる。「咸く宜し」との塾名の通り、身分・出身・年齢を問わない「三奪」によって、門を叩く者すべてを受け入れた。入門者は4000人を超え、高野長英や大村益次郎らを輩出する◆卒業、進学の季節。桜前線は万人を等しく包むが、経済的理由で進学を諦めるのは悲しいことだ。奨学金は意欲ある若者を応援する。意欲があったかどうかはさておき、北斗子も助けられた。完済に15年掛かったが......。公明党の推進で、卒業後の所得に応じて返済月額を調整できる所得連動型などの導入が検討されている。希望を持ち続けてほしい◆希望どころか、不安を煽ってどうする。国立大学の授業料が大幅値上げされるとのデマを流し、反対署名まで集めるのが政党の役割か。それで進学を断念した若者がいないとも限らない◆「戦争法」のウソで黒丸が一つ、「学費値上げ」のウソで黒丸がまた一つ......。かの党の万善簿には、黒丸しか並んでいない。(也)