eコラム「北斗七星」
- 2016.03.29
- 情勢/社会
公明新聞:2016年3月29日(火)付
「一代の女傑」と言わしめた広岡浅子。その生涯を描いた朝ドラもいよいよ大詰め、来月2日が最終回となる。男尊女卑が当たり前の幕末期に生まれた浅子は、女性が学問をしてはいけないという風潮と闘い続け、遂には日本女子大学校(現・日本女子大)まで設立(1901年)した◆テレビ化で一躍、傑出した人物として知られるようになった浅子だが、同時期に女子のための高等教育機関をつくった女性がもう一人いた。吉岡彌生だ。現在の東京女子医大の前身である東京女医学校を1900年に創立した◆1871年、現在の静岡県掛川市で医師一家に生まれた彌生は、両親の影響で正義感の強い女性に育つ。17歳で医学を志すが父親から「女には無理」と大反対を受ける。家族の助けもあり東京の済生学舎(現・日本医大)に入学、国家試験に合格して日本で27人目の女医となる◆その後、済生学舎に女性が入学できなくなったのを契機に、彌生は夫の全面協力を得て女医養成機関設立を決意。さまざまな困難を乗り越えて大学創設を成し遂げ、今日まで数多くの女医を輩出してきた◆振り返って二人が一大事業を成せた最大の協力者が夫であった事実は、真の男女平等をめざす上で重要な視点の一つと感じた。さて、「あさが来た」は、どんな最終回となるのか楽しみだ。(爽)