e16年度予算が成立
- 2016.03.30
- 情勢/社会
公明新聞:2016年3月30日(水)付
子育て、介護の基盤拡大
石川氏が賛成討論 財政健全化、着実に前進
不妊治療助成、中小の「よろず相談」、非正規対策も充実
一般会計総額96兆7218億円の2016年度予算が29日夕の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。予算には公明党の主張が大きく反映され、(1)待機児童対策など子育てや教育への支援(2)認知症対策など医療・介護分野の施策充実(3)防災・減災や東日本大震災からの復興加速(4)地方創生―に重点を置いている【表参照】。
特に子育てでは、13~17年度の保育の受け皿拡大目標を「40万人」から「50万人」に増やすとともに、保育士などの待遇改善に向けた経費を計上。保育士の負担を軽減する補助者配置への支援や病児保育事業の拡充などを新規で盛り込んだ。妊娠から子育て期まで切れ目のないサポートを行う子育て世代包括支援センター(日本版ネウボラ)の設置拡大や不妊治療への助成拡充も打ち出した。
子どもの貧困を防ぐ観点から、ひとり親家庭などへの支援も手厚くした。児童扶養手当の多子加算を最大で倍増するほか、年収約360万円未満の世帯の保育料負担についても、多子世帯では年齢制限を撤廃し、第1子が何歳であっても第2子は半額、第3子以降は無償、ひとり親世帯では、第1子が半額、第2子以降が無償となる。
児童虐待防止に向けた児童相談所の体制強化や社会的養護が必要な子どもたちへの支援強化などには、新規事業も含めて1271億円を計上した。
介護に関しては、受け皿拡大や認知症対策に加え、仕事との両立に向けて介護休業の分割取得を可能にし、介護休業給付率を「育休」と同じ水準に引き上げた(賃金の40%→67%)。
一方、中小企業・小規模事業者の相談にワンストップ(1カ所)で応じる「よろず支援拠点」事業に前年度比9億円増の55億円、非正規社員の正社員化や待遇改善への取り組みを行う事業主を支援する「キャリアアップ助成金」に同189億円増の410億円、地域における結婚に向けた活動支援に新規で5億円を盛り込んだ。
本会議に先立つ参院予算委員会で公明党の石川博崇氏は、16年度予算案について、20年度に向けた「経済・財政再生計画」で示されている「目安」に沿って歳出の伸びを抑制していることや公債依存度が低下したことに触れ、「財政健全化に資する予算」と高く評価。政府に対し、迅速かつ適切な執行を求めた。
少子高齢化に立ち向かう 山口代表
公明党の山口那津男代表は29日夜、国会内で記者団に対し、2016年度予算の成立について「GDP(国内総生産)600兆円、介護離職ゼロ、希望出生率1.8というアベノミクスの新しい目標を実現するため、少子高齢化に本格的に立ち向かっていくスタートになる」と強調した。
また、追加経済対策の必要性に関しては、今の経済状況を見極めていくことが重要だと指摘。その上で「1億総活躍社会の中身を政府・与党で決めていく。それが今後の政権の姿勢を示していく大事なポイントになる」と述べた。