eコラム「北斗七星」

  • 2016.04.04
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年4月2日(土)付



「がんばれ、日本。がんばれ、東北。」―東日本大震災の発生から数日後、英国の高級紙インデペンデント紙は、新聞の顔ともいえる1面全面に、日の丸をあしらったイラストを掲げ、日本語でエールを送った◆その同紙が先週、紙印刷の歴史に幕を下ろし、電子版による情報配信に完全移行した。最終号の社説では、「印刷機は止まったが、インデペンデントの精神はこれからも繁栄する」と論じた◆議会政治発祥の地として知られる英国では「かつての新聞は、ほとんど全部政党の機関紙であった」(「新聞学原理」小山栄三 同文舘)。英国だけでなく、近代民主主義政治が確立される過程において、新聞は議会開設運動の大きな原動力となった。「議会と新聞とはデモクラシーの双生児」(同著)と表現されるのは当然かもしれない◆その新聞が今、デジタル媒体の挑戦を受けている。膨大な量の情報が即座に得られるインターネットには、確かに利点がある。しかし、ややもすると好みのネット空間に閉じこもり、興味ある情報を追いかける一方で、無関心なテーマを遮断していないだろうか◆新聞は読者の政治判断に役立つ豊富な言論情報を提供する。それが、民主政治の担い手である国民の要求にかなうからだ。創刊54周年を迎えた本紙も、その一翼を担っていく。(明)

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