eG7外相、広島へ
- 2016.04.07
- 情勢/国際
公明新聞:2016年4月7日(木)付
核兵器の廃絶に向けた機運が再び盛り上がる契機になることを期待したい。
今月10、11日に広島市で開催される主要7カ国(G7)の外相会合で、米国のケリー国務長官をはじめG7の外相がそろって平和記念公園を訪問し、広島平和記念資料館(原爆資料館)を視察するとともに、原爆死没者慰霊碑に献花することが決まった。
核兵器を保有する米国、英国、フランスの外交責任者が同公園を訪問するのは初めてである。その意義は大きく、歴史的とも言えよう。
核保有国の指導者が直接、被爆の実相に触れることは、核兵器のない世界をめざす国際協調を深める上で、非常に重要だ。公明党が被爆地での開催を一貫して主張してきたのも、そのためである。各国の外相には、被爆の悲惨さを伝える原爆資料館の展示をつぶさに見て、核兵器の非人道性を実感してもらいたい。
外相会合では、過激派組織「イスラム国(IS)」などのテロ対策のほか、難民問題や北朝鮮情勢などを協議し、その成果を盛り込んだ共同声明を採択する。それとは別に、核軍縮・不拡散を推進するための「広島宣言」を発表することにしており、唯一の戦争被爆国である日本から、核廃絶への決意を示す力強いメッセージを発信すべきだ。
昨年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は合意文書を採択できずに閉幕し、核軍縮の動きは進んでいない。核保有国と非保有国の両方の主要国が含まれる外相会合が、停滞を打開するきっかけになることが望まれる。
核軍縮を具体的に進めるには、保有国の理解と行動が欠かせない。「核なき世界」という共通の目標に向かって、現実的な取り組みを一歩ずつ進めていくしかない。
今年は核廃絶に向けた「法的措置」を議論する国連のオープンエンド作業部会が開催され、秋の国連総会に勧告を出すことになっている。これを成功に導く後押しができないか。核保有国は作業部会の設置に反対し、議論にも参加していないが、法的措置の将来的な必要性まで否定しているわけではない。外相会合を通じて、日本が核保有国と非保有国の橋渡しの役割を果たしたい。