eコラム「北斗七星」

  • 2016.04.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年4月8日(金)付



天馬博士がつぶやいた。「懐かしい日だ」。その日は4月7日。亡くなった愛息・トビオに似せて作った「アトム」の誕生日である。『愛唱歌ものがたり』(読売新聞文化部/岩波書店)から引いた◆生みの親が天馬博士、育ての親がお茶の水博士という、手塚治虫の『鉄腕アトム』。今でいう人工知能(AI)ロボットだ。TVアニメとして放送が始まったのは1963年正月。以後、60カ国以上で放映された。それにしても、物語が現実化しつつあるのには驚く◆先月、囲碁のAI「アルファ碁」が世界トップ級の棋士を破り、波紋が広がっている。囲碁の終局までの手数は10の360乗。将棋の10の220乗に比べ、桁違いに多い。加えて碁石は攻めや守りなど様々な役目を担うため、人間に勝つまでに10年はかかると見られていたからだ◆勝因はAIの「深層学習」技術。人間の脳の構造を模倣し、人手を煩わせず集めた情報から自力で判断し回答を見いだすものだ。今回はプロ棋士らの16万対局、3000万の盤面画像を読み取り、碁石をどこに打てば勝てるか自習したらしい◆最新のAIの登場で、どんな状況でも自動運転できる車や診断・治療、ロボット制御など具体化へ動きも急だ。第4次産業革命期に入った世界。新たな成長エンジンを生み出す「革新力」(日経)と政策が求められている。(田)

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