e潜在介護福祉士 復職を望む人たちの後押しを
- 2016.04.08
- 情勢/社会
公明新聞:2016年4月8日(金)付
体力的にきつくて一度は辞めてしまったが、やりがいは感じている。条件が合えば仕事に戻りたい―。そんな復職を望む人たちを後押しするような施策にしていきたい。
介護人材の確保策を盛り込んだ改正社会福祉法が、3月末に衆院本会議で可決、成立した。この改正では離職する介護福祉士らに対し、都道府県福祉人材センターに氏名や住所などの届け出・登録を促すことを盛り込んだ。政府は2016年度中にも、それらの情報をデータベース化し、求人情報や復職研修の案内などを登録者にメールで送るシステムを構築する。来年4月の改正法施行に合わせて、運用を始めたい考えだ。
国家資格である介護福祉士は、本人だけでは日常生活が難しい高齢者や身体、精神に障がいのある人に食事や入浴などの身体的な介護を行う。それだけでなく、介護をする家族らに対しても幅広く相談に乗り、アドバイスする。介護人材の不足がますます深刻化する中で、"介護のプロ"である介護福祉士の需要は高まる一方だ。
ところが、離職したり、資格を取っても介護職に就かない人は数多い。こうした「潜在介護福祉士」は全国で約52万人おり、資格保有者の約4割を占めるという。
「介護離職ゼロ」を掲げる政府は、従事者の量と質の向上に全力を挙げており、公明党も政策提言などを通じて積極的に推進してきた。来年4月のシステム開始までに、利用者のニーズに合った情報を、どのような形で発信していくのか。周知徹底も含めて準備に力を入れてほしい。介護福祉士らの目線に立った有益な仕組みとなるよう、しっかり注視していきたい。
同様の試みは、潜在看護師らの復職支援において既に実施されている。その運用状況や反響を分析し、介護のシステムに成果を反映させることも一案だろう。
もちろん、どれほど多くの情報を提供しようが、介護の過酷な労働環境や処遇が改善されないままでは、復職をためらうのは当然であろう。復帰してもすぐに辞めてしまうのは想像に難くない。希望者がスムーズに就職・復職し、職場に定着できる環境整備が求められる。